5章-05 夜襲
そして、辺りが暗くなった。
寝ようとして、布団を敷いた頃だった。
がちゃん!
激しい音を立てて、窓ガラスが破れた。
アヌビス「…な、なんだなんだ!?」
がちゃん!がちゃん!
なおも音は続く。
パギー「…石!」
レック「誰かが、投げ込んでやがるのか!?」
それにまざって、ヤカンやら鍋、挙句の果てには包丁まで飛んできた。
アヌビス「なんなんだよ、一体…」
レック「俺たちが地上人だということは知れわたっているようだな。
おそらく、それが理由だろう」
アヌビス「おいこら卑怯者!何か言いたいことあるなら堂々と言え!」
アヌビスが外に向けて叫ぶが、応答はない。
しばらく間が空き、また石や生卵が飛んでくる。
石を投げる間隔からして、単独犯ではないのは明らかだった。
ナオヤ「とっちめてくるか」
アヌビス「ああ、サヤとパギーはちょっと待ってろ」
外には街灯一つなく、果てしない真っ暗闇が広がっていた。
アヌビス「逃げやがったか?」
ナオヤ「まさか。まだこの辺にいるだろ」
そのとき、頭部に鋭い痛みが走った。
…不意打ちだった。
ナオヤ「ぐっ…」
アヌビス「なっ!?」
レック「こいつ!」
レックのとっさの回し蹴りがナオヤを殴った男に命中し、男は逃げていく。
レック「逃がすか!」
レックは後を追っていく。
アヌビス「ナオヤ、大丈夫か」
ナオヤ「くっそ、卑怯なやつらめ…」
アヌビス「…!」
背後に殺気を感じ、アヌビスはナオヤごと体を右にかわす。
何もなくなった空間に、木の棒が振り下ろされた。
ナオヤ「おい、お前ら、何が目的なんだよ」
返事はなかった。
囲まれていた。
その数は、20人を優に越えていた。
徹底的に殴られて、記憶がなくなった。
サヤ「た、助けてください!」
支配人「…んなこといわれましても…」
パギー「…」
サヤ「だ、だって、このままじゃ、ナオヤが…」
パギー「…私たちも、行こ」
サヤ「………うん」
でも、どこにもナオヤたちの姿はなかった。
私たちは仕方なく宿に戻り、窓は割れ、床も机もぐちゃぐちゃになった部屋で夜を明かした。
…でも、ほとんど眠れなかった。




