5章-02 戦恨
パギー「海底国行き、特別潜水艦」
パギーに金を支払ってもらい、俺たちは潜水艦に乗った。
…客は、俺たちだけだった。
サヤ「空いてるね」
船員「そりゃ、すきこのんで海底国なんか行く地上人はめったにいませんよ」
レック「船員さんは、海底国に詳しいのですか?」
船員「詳しいってわけじゃないですけどね」
サヤ「よかったら、海底国の話、聞かせてください」
船員「海底人と地上人の間で大きな争いが昔あったんですよ。60年ほど前です。
原因は、地上人の一部が、勝手に海底国に攻め入ったことです。
そこから海底国が地上に宣戦布告をし、長くにわたって戦争が続きました。
で、その戦いの結果、海底国が降伏する形で戦争は終わりました。
それ以来、こうして潜水艦で、交流も行われるようになりました。
でも、大敗した海底人たちは、未だに地上人を恨んでいるのです」
ナオヤ「俺らはそんな戦争とは全然関係ない世代だが」
船員「でも、彼らはもう、地上人というだけで恨みの対象にしてしまっているのです。
海底人にとって、地上人は忌まわしき民族とされています。
好戦的で、海底まで自国の領地にしようとたくらむ野蛮な民族…と」
ナオヤ「馬鹿じゃねえの?好戦的とか勝手に言われても…。そんなもんしらんがな」
船員「確かに、勝ったほうには、何も無くて、それで終わりなんですけど、
負けた側には、結構復讐心が芽生えるものなんですよ」
ナオヤ「だからといってそんな何十年も昔の戦争と俺が関係あるわけでもなく」
船員「まあ、そうなんですけどね。
…だったら、行かないほうが、いいかもしれませんよ。危ないですから」
ナオヤ「用事があるんだよ。今更引き返せるか」
船員「では、せいぜいお気をつけて」
パギー「何か嫌だなー」
レック「こうなったらしゃぁない、覚悟を決めようぜ」
ナオヤ「そんなに神経質になる必要もないだろ。ちっぽけな恨みなんて表面的には出ないって」
アヌビス「だといいけどな…」
レック「…『ちっぽけ』な恨みじゃねえかもしれねえぜ」
パギー「サヤ?どうしたの?口数少ない」
サヤ「…へ?そ、そんなことないよ」
アヌビス「どうかしたのか?」
サヤ「なんでもないよ」




