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満月の夜僕は夢を見る  作者: 上門 愛美
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はじめに

 僕は、今日出されていた宿題を解きながら今日の授業の事を思い出した。

 昨日、本を読んで徹夜をしたのにも関わらず今日の授業は寝なかったな。 

 授業は寝ないのが当たり前だろ。クラスの皆は口を揃えて言うが・・・・・・当たり前か、僕の高校は県内一の偏差値で、進学率95%と自負している。僕はこれといった特技もないし、中学の時もクラスに4人はいるような平凡な子だった。僕は自分を変えようと上の高校を目指した。先生には何度も止められたが全部無視した、止めてくれる親は5年前に他界していた。僕の面倒を見てくれている母の妹―直美さんは―どこでもいいと言ってくれていた―いつも僕の言うことには賛成してくれたし、味方になってくれる。でも本当に僕なんかが入れたのは奇跡だ。多分サイコロを転がして12回連続6を出すより難しいだろう。と塾の先生が言っていた。直美さんすごく喜んでくれたし、1週間近く合格祝いをしてくれた。

 そんな僕にも、1つ人に言えない―直美さんにも言えない秘密を持っていた。

 満月の夜に夢を見ることだ。

 皆は疑問に思うかもしれない。夢を見ることは人に言えない秘密なのかと。僕は夢と呼んでいるが、みんなの夢とはだいぶ違う。と思う。一晩で僕は3か月以上も夢の中で生活をする。五感もしっかりといていて、甘い、辛い、熱い、寒い、眠い、痛い、気持ちい、といったものを感じる。まるで自分の体ごと夢の中に入ってしまったような。そして毎回、別の外形をして必ず何かしらの使命を持っている。その使命をクリアできるまで夢は終わらない。最近だと、村長になって一年中サイクルできる畑を作ったり、魔法使いになって天気を変える魔法を作ったりした。

 これまでの経験から言うと、どんどん夢を出られる条件が難しくなっていること。満月の夜にしか夢を見ないことが分かった。満月の夜には必ず不吉なことが起きる。父と母も死んだのは満月の夜だった。

 僕は椅子から立ち上がった後、カーテンをそっと開けた。

 外からは眩しい光が飛んできた。月の光は、必要最低限の物しか置いていない部屋を意味なく照らしていた。目の前には、こんなに大きかったか?と思うぐらいの満月が僕に向かって笑みを浮かべていた。

 今日は夢を見ると自分に言い聞かせると、無性に直美さんの顔を見たくなった。足早にリビングに行くと直美さんは僕に気づき手招きをした。リビングはお酒の缶で散らかっていた。直美さんは月~木曜日はお酒を我慢して金曜日に我慢していたお酒を飲むのだが、今日はいつもの数倍は飲んでいた。直美さんの横に座るとお酒臭かったが、まだ20代の直美さんのタンクトップ姿は魅力的だった。顔もモデル顔負けなのに、僕のせいで彼氏一人も作らないのを申し訳ないと思った。

「直美さん、もう飲まない方がいいですよ」と僕は心配で言った。

「大丈夫」と直美さんは震えた声で言った。目からは小さい粒の涙がこぼれていた。それから僕を力強く引き寄せると口や額にキスをした。華奢なのにこれほど力強く抱きしめてきた直美さんの気持ちが伝わった。「あなただけはどこにも行かないで」「私を一人にしないで」と。

「僕はどこにも行きません。だって僕もあなたしか頼れる人がいませんから」僕は肺に残っている空気を全部使って言ったが、とても小さな声だった。

「ありがとう、りつ君」そう言うと、抱きしめていた手の力が急に緩くなった。

 直美さんは気持ちよさそうな顔で寝ていた。

 僕は、直美さんをお姫様抱っこして、ベットまで運んだ。幸い直美さんの部屋が空いていたので難なくベットに入れることができた。羽毛布団を掛けた後、直美さんの額にキスをした。これは、2人の約束だった。後に寝る人は先に寝た人にキスをしてから寝る。最初は恥ずかしかったが今では当たり前のようになっていた。そう、僕たちの信頼関係は親子以上に強く太いものなのだ。

 僕は、リビングのあかりを消すと自分のベットに滑り込んだ。

 そして、茶色で統一された机、椅子、たんす、本棚を眺めた。明日直美さんに本を買ってもらおうと考えていると目が熱くなっていた。

 もし、今日の夢が出れなかったらどうしよう。直美さんを一人ぼっちにさせないだろうかと考えた。

 ぜったに戻ってきてやると僕は満月は満月を睨みながら言った。相変わらず、満月は笑みを向けていた。

 お休み。僕は、ゆっくりと目を閉じた。

 

間違えている言葉の使い方、漢字。

などがありましたらご指摘お願します。

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