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鎧武者 ①

淡島小太刀を加えた喫茶店のテーブルは静まり返っていた。


「・・・マジ言ってんの?」


ヒスイが胡散臭そうに問いかける。


「わからない・・・。」

「・・・?さっき連れ去られたって言った。」


歯を食いしばる小太刀にヒスイのイライラが溜まって行く。

だが、先に大声を出したのは琴鼓だった。


「大変だよ!早く探そうよ!あ、警察には連絡したの?こうしちゃいられないよ!私ちょっとその辺探してくるね!」


立ち上がるその手を華凛が掴み座らせる。


「ちょっと待ちなさい。えっと、小太刀くんって言ったっけ?ちゃんと話聞かせてくんない?なんだかサッパリ分からないんだよね。」


珍しく落ち着いた華凛が小太刀の目を見詰める。

小太刀は無言で頷いた。


「俺と皐月さんは―。」


小太刀の口からいきなり出た名前に琴鼓と華凛の顔色が変わった。


「ちょっと待って!皐月・・・?白川皐月?」


華凛の声が震える。


「そ、そうだけど、知り合いなのか?」


小太刀も思わず前のめりになった。


「皐月ちゃんが連れ去られた・・・。うそ・・・。」


琴鼓が泣きそうな顔になる。


「琴鼓!皐月に電話!早く!」

「う、うん!」


琴鼓は慌てて携帯電話を取り落としそうになりながらもなんとか皐月へ電話を掛ける。

1回、2回と呼出音が鳴る。

10回を超えたところで呼出音が止まった。


「さ、皐月ちゃん!今どこに―。」

「この電話番号は現在電波が届かない場所に―。」


電話は繋がらなかった。

すぐさまメールを送ったが返信は来ない。


「おい!あんた!皐月と一緒に居たって?あたしはあんたを知らない。どこの誰!?」


華凛が小太刀に食って掛かる。


「俺は・・・俺の名前は淡島小太刀。」


小太刀は名前を名乗るとこれまでの経緯を話した。

ホテルで出会い。ヒスイとの事。自分のロボットを買い戻してくれた事。


「それから、皐月さんは一緒にロボットを取りに行こうと言ってくれた。近くに保管されているからって。そんで、すぐに連絡を取るから少し待っててと言って俺を残してその場から離れたんだ。とりあえずその場でしばらく待っていたんだけど、10分経っても戻ってこないから探しに行った。会場の出入り口付近まで行くと彼女が居た。でも、その周りを囲むように白い服を着た男達もいて、無理矢理皐月さんをそのまま車へ乗せると走り出して・・・。」


そのまま走って追いかけ、この付近で見失ったという事だ。


「皐月は、白川グループ社長の一人娘なんだよ・・・。子供の時から何度か狙われる事があった。いつもは誰かが付いているのに・・・なんで今日に限って一人で出掛けたりなんか!」


華凛が悔しそうにうつむく。


「ごめん。俺が目を離さなければ・・・。」


小太刀は拳を握り締めた。


「・・・凹んでる場合じゃない。」


ヒスイはそう言うと小太刀の頭をパシッと叩いた。


「・・・あんた。偉そうにアタシに言ってた。カッコつけ?」

「・・・・。」


無言の小太刀。


「・・・なんか言ったら?」

「ヒスイさん!小太刀くんも苦しんでるよ・・・。」


琴鼓が小太刀を庇うとヒスイは呆れてそっぽを向いてしまった。

一瞬の沈黙の中、小太刀が急に顔を上げる。

その視線はどこか定まらない場所を見ている。


「近い・・・。」


小太刀はボソッと呟きゆっくりと立ち上がる。


「どうしたの?」


琴鼓も心配して立ち上がる。

小太刀の視線は窓の外を見つめている。

行き交う人や車の流れ。

その中を一台の白い車が通り抜けた。


「アレだ!」


次の瞬間、小太刀がテーブルを飛び越え出入口のドアを蹴り破って外へ飛び出した。

唖然とする三人の中で一番に動いたのは華凛だ。

壊れた扉を飛び越え小太刀の後を追う。


「・・・!?」


ヒスイがさらに続く。


「え?え?まってぇ!」


最期に琴鼓が続こうとして壊れた扉につまづき豪快に転んだ。

すっかり置いて行かれた琴鼓が起き上がろうとしたところで、後方から車が停車する音。

続いてドアの開き閉まる音。

そして、男性の声がした。


「琴鼓様・・・?」


聞き覚えのある声に琴鼓が振り返った。



その頃、小太刀の目は数メートル前を走る白い車をロックオンしていた。

続く華凛は小太刀の背中を、ヒスイは華凛の背中を目指して走っていた。


「・・・二人とも・・・足、はや。」


ヒスイが息を切らし、なんとか見失わない様に必死で走っていた。

これはもう無理だと諦めかけたところで急に華凛の背中が近づいた。


「・・・!なに!?」

「いや。小太刀くんが急に止まって・・・。」


見ると小太刀が交差点で止まり、まるで獣の様に鼻を高く上げクンクンと匂いを嗅いでいる。


「・・・なにしてんの・・・?」

「さぁ・・・?」


二人の冷たい視線などお構い無しに匂いを嗅いでいる。

突然「よし!」とガッツポーズを取る小太刀。


「いける!」


そう言うと小太刀は右手を大きく空に伸ばした。


「猛る魂!天を焦がせ!・・・来ぉぉい!華焔かえん!」

読んでいただき有難うございます。次話、やっとロボット出ます。読んでいただけたら幸いです。

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