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光の朝

光の朝


 目を開けると竜軌が、優しい顔で美羽を見ていた。

「おはよう。美羽」

 こんな風に穏やかに言う人だったかしら、と思うと、頭を優しく撫でられた。

「着替えて来る。今日は俺もここで朝飯を食う」

 美羽が瞬きすると、嫌か、と問われる。

 ふるふる、と首を横に振り、口を大きく開き、待ってる、と動かした。

 竜軌はそれに笑みを浮かべ、部屋を出て行った。


〝あのね、変なことを訊くけど〟

 朝食のあと、竜軌に質問しようとしたことがあった。

「何だ。今までの女の数なら答えんぞ」

 そうじゃなくて、と思ってから止まる。質問を変更する。

〝たくさん、女の人と、付き合ったの?〟

「気になるか?」

 頷く。胸から嫌なものが湧いて喉のあたりで不快に凝る。責める権利もないと知りつつ、竜軌を睨んでしまう。

「お前がいなかったのが悪い」

 美羽が俯き、メモ帳とペンを強く握ると竜軌が宥める声で言う。

「そう多くないし、美羽がいるから他の女はもう要らない」

 それでもやはり面白くなくて俯いたままでいると、まだ傷痕の残る唇で下から掬い上げるようにキスされた。

「機嫌を直せ。訊きたかったこととは何だ?」

 思い出して、最初に訊きたかったことに軌道修正する。

〝竜軌は、私の、旦那さんだったことがある?〟

 一笑に付されるかと思ったが、それを読んだ竜軌の表情は真面目だった。

「ある。と言えば、信じるか?」

 美羽は少し考える。

〝それってつまり、前世とか、そういう話?〟

「そうだ」

 美羽がまた考え込むと、竜軌が軽く言った。

「別に信じなくても良いぞ」

 それに対し、首を横に振る。

〝あなたはとても現実的な人だから。竜軌が言うのなら、私は信じる〟

「そうか。理屈は通っている」

〝仲の良い夫婦だった?〟

「ああ。愛し合っていた」

 率直な答えと目から、美羽はつい視線を逸らした。


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