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刹那に舞う
刹那に舞う
雪が舞い降り、二つの刃を別った。
澄んだ金属音が鳴る。
神器である懐剣・雪華の柄を掴んだ真白が荒太と竜軌の間に佇んでいた。
「美羽さんの傍についててあげるんじゃなかったんですか、先輩」
「……真白。お前の差し金か、これは」
「はい。私が荒太君に頼みました。あなたはきっと、物騒な物を隠し持っているだろうと思ったから」
「銃を返せ」
「火縄銃で満足したでしょう?」
「お前とは戦り合いたくない。負けるからな」
「あなたが罪を犯せば、美羽さんはどうなります。銃を使わないと約束してくれますか」
「約束せねばどうする」
真白がふわりと微笑む。
「力ずくで」
「力ずくか」
「はい」
竜軌は槍から手を放した。




