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訶梨勒(かりろく)

「万円札が不足しております。ご協力ください!」

『おかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波の届かない状況にある為、』

「ふざけんなよ、荒太。お前、機械の声真似も上手いのな」

『ふざけてんのはどっちですか、剣護先輩。十分な経費は渡しましたよね?』

「天婦羅鍋と灰汁掬いと匂い袋買ったら足んくなったんだよ」

『それでも十分な額だった筈ですよ。匂い袋はどんなのを買ったんですか?』

訶梨勒(かりろく)。ってのの、極品(ごくひん)?っての」

 訶梨勒とはインド原産の植物名で、『石黒香舗』では約十種類の香木を調合した特製香として販売している。

 荒太の血圧が急上昇した。

『何してくれとんねん、ボケエエエッ!!』

「えええ?だってお前が、しろに似合いそうな、って言ったんじゃん?西陣織正絹金襴名物裂(にしじんおりしょうけんきんらんめいぶつきれ)の袋に桐箱入りだぜ。邪気を払っていー香りってあいつそのものじゃん」

『うちは新庄家やないっ。中産階級なんですよ!しかもまだ学生!あんた、俺の財布をなんやと思うとんのや!?』

 叫ばれて剣護はちょっと考えてみた。

「真白基金」

『結界使うて殴りに行くで!?』

「あいつの幸せはお前の幸せでお前の幸せはあいつの幸せであいつの幸せは俺の幸せでもあるから大目に見ろよ。それにお前、まだ本調子じゃねーだろ」

『小賢しいっ。昔も今も、あんたと真白さんがなんで血ぃ繋がってんのか俺には謎や!真白さんは皮膚が薄うて色白やぞっ、剣護先輩の面の皮の厚さはどこで拵えたんですかっ』

 興奮しているので、荒太自身も自分が何を喚いているのか把握出来ていないところがある。

 対する答えは。


「…愛?」


 通話を切る荒太に躊躇は無かった。


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