表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
557/663

あなたなしでは花咲かず

紛らわしいですがこれは本編です。

美羽と竜軌が京都に発ったあとの、蘭と聖良の携帯越しの会話。

あなたなしでは花咲かず


 聖良はキラキラにデコレートされた携帯を取った。

「雪人さん。どしたのっ?」

 聖良の声は弾んで髪の毛を右手の指にくるくる巻きつけている。

 部屋のテーブルには結婚式場のパンフレットが山と積まれていた。

『聖良さん。実は私も竜軌様たちを追って京都に参る可能性があるのです。それをお知らせしておかねばと思いまして』

「何、それ。お邪魔虫でしょ」

『都で何が起きるとも限りませんし――――――』

「…過保護過ぎない?竜軌さんはもう大人じゃない」

 多少の災難は涼しい顔で遣り過ごしそうな気がする。

『はい。ですが、私には私の務めがございますれば』

「………」

 雪人の口調は飽くまで穏やかだった。


 携帯を置いた聖良はベッドに仰向けになった。

 仰向けになって、上から被さる雪人の顔を想像する。

 聖良の名前を呼んで愛してくれる夜を。


 彼の心は自分一色に染まってはいない。


〝私は戦いに身を置く男です〟


 時代錯誤な台詞を今でも覚えている。自分を残して逝かないと約束出来ない、と続けた声も。

(何か。お侍さんみたい。ちょんまげな世界?)


 凛々しさも生真面目な一途さも雪人には似合うけれど、愛する男には自分よりも大事なものなんて持っていて欲しくない。


(もしもあなたが死んだら。あたしはその先、どうやって生きれば良いのよ)


 豪華なドレスもお洒落なチャペルもぴかぴかの新居も要らない。

 安物の服だけでも爪の手入れが出来なくても、化粧品が買えなくてすっぴんで、水仕事で手が荒れたって構わない。


 雪人が自分に笑ってさえくれれば、聖良の世界は明るくなって花が咲く。




挿絵(By みてみん)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ