表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/663

※舞台の袖

これまでのあらすじ。


前生での妻・帰蝶の生まれ変わりである美羽をやっと取り戻した竜軌。

不器用ながらも心を通わせる二人。

竜軌の母・新庄文子の提案で、美羽は竜軌と共に園遊会に出席することになる。


舞台の袖


 これは真白さんに、という言伝と着物の入った畳紙が真白の部屋に届けられ、荒太のリクエストは叶わないものとなった。

 園遊会の日は晴天だった。

 真白に着付けしてもらった美羽を、竜軌が迎えに来た。

 ワックスかムースを使ったのだろう、長めの黒髪は一筋の乱れもなく整えられ、いつもの赤いエクステも外している。

 黒い麻のジャケットを羽織り、品の良い光沢のある黒のスラックスを穿いている。

 銀とグレーの中間のようなネクタイは絹だろう。

 真っ黒な髪と目が、いつもとは異なる日本美を感じさせる。

(――――令息)

 そのままだわ、と美羽は思った。

 しかし中身はどこまでも竜軌だった。

 にやりと笑う。

「見惚れたか」

 美羽は図星と悟られまいと、紙に文字を書きつけた。

〝キザな格好よね。ホストみたい〟

 くす、と笑ったのは、竜軌の後ろに真白と並んで立つ青年だった。

「お前、可愛くないぞ」

 不平を言う竜軌の前に、その青年は進み出た。

「いや、的を射た表現だったと思うよ。どうも初めまして。俺は真白のエスコート役に呼ばれた、江藤怜です。成瀬とは同じ大学の四年なんだ。よろしく」

 会釈しながら、綺麗な男の人だわ、と美羽は思う。蘭のように華やかな美貌とはまた違う端整な顔立ちは、どこか真白に似ている。血縁だろうか。

 柔らかな印象を与えるライトグリーンのジャケットに、同じ色のスラックス。首には濃紺のネクタイを締めている。

〝初めまして。よろしくお願いします〟

 秀麗な顔が、心得ているように微笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ