表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/663

忍び二人

忍び二人


「どうだ、兵庫(ひょうご)。そちらは」

「無理、無理。どだい、話に無理がある」

「お前、最初から投げてかかっているのか」

「投げたくもなるだろ、黒羽森(くろうもり)。なんせ、手がかりは〝女〟であること。〝みわ〟と言う名前かもしれない、ってことの二つだぜ?俺たちがいくら優秀だろうと、不可能はあるさ。違うか、弁護士先生?」

 ふー、と兵庫が紫煙を吐く。黒羽森はそれをじっと見て、愚直に重い口を開いた。

「…だが、主命だ」

「違うだろ、主人が請け負った、命令だろ。しかも交換条件だ。厳密には主命とは言わないよ」

「手を抜けば、真白様と荒太様が信長公に侮られよう」

 黒羽森の言葉に潮騒が混じる。

「…俺の勘では、このあたりが臭かったんだけどな」

「ああ。公も先日までこのあたりにおられたとか。頼みの綱は引き寄せあう縁の引力か」

 海猫の舞う重い空を、片手に煙草をくゆらせながら兵庫が見据える。

「――――――――遠くはない。俺はそう睨んでる。あと何か一つ、突破口が欲しい」

「突破口か…」

 ふと兵庫が笑う。

「どうした」

「いや、昔っからこんな時、突破口を指し示してくれるのは、大体、若雪様…、真白様だったと思ってね」

「そうだな」

 黒羽森の口元も和む。

 灰色の空、灰色の雲。

 砂浜に立つ二人の男は先行きに光明を求めていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ