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躍っていた

躍っていた


 藺草、金木犀の練香水、それらにも増して竜軌の硬い肌の香りを美羽は胸一杯に吸い込んだ。これがなくては生きて行けない。涙ながらにそう思う。

 竜軌は、自分を恥じて泣いた蝶が可哀そうだった。


 本能寺跡の残る古都・京都。


 信長と帰蝶が燃えて死んだ。


 死に場所や墓の単語まで出て、美羽が熱情に駆り立てられて止まないのは寧ろ自然なことに思える。信長と帰蝶は死ぬ直前、最期と覚悟し契りを交わした。来世も共にあることを疑わず。


 喜悦と悲しみと躍る炎。


 それが二人の愛の終着だった。

 交わり終えたあと、信長は夜着を纏い直した帰蝶の、首の脈打つ一点を切り裂いた。愛する女を最も楽に死なせてやりたかった。けれど自分は意地もあったからか、夜着から腹を出し、六王の槍先を突き立てて真横にぐいと引いた。想像をはるかに上回る激痛を感じた。激痛、という言葉さえ拙劣な。火の熱によるものでない脂汗がぶわ、と毛穴から出た。


 ――――――――記憶はそこで途切れる。








挿絵(By みてみん)



次話「再会」はムーンライトノベルズに置いてあります。

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