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まさかね

まさかね


 青鬼灯の外見的特徴は、長身であることくらいだ。

 他、顔立ちなどは平凡にしか見えず、身だしなみにも気を遣わない。大学の講義に欠席して、あとでノートを見せてくれと同級生に頼んでも「あれ、お前いなかったっけ?」と言われるくらいに影が薄い。

 至って風采が上がらない、そんな自分の容姿や雰囲気に彼は満足していた。

 忍びたる者こうでなくては、と思う。

 赤花火のようなのは目立ち過ぎていけない。

 ただ、目立ち過ぎて忍びに見えにくいという効果もまた否定は出来ないのだ。

(この現代、忍びを忍びではと疑うのは同業くらいだが)

 そう考えながら車道の端でうたた寝しているグレーの猫を見る。

 ピンク色の小さな三角の鼻から、ぷくぅと鼻提灯が出ている。

 どうも妙に気になる猫だと思ったのは、穿ち過ぎだったのかもしれない。そもそも猫に化ける人間など有り得ない。架空の物語だ。ましてや猫の密偵など。ましてやそれが鼻提灯を膨らませて呑気にお昼寝するなど。

(これがもし織田方の忍びの使う猫などであれば噴飯ものだ)

 ぱちん、と鼻提灯が弾け、ハッと猫が目覚めてきょろきょろする。

 ここはどこ、私は誰、といった具合である。

 青鬼灯と目が合った。

 金色の双眸が瞬きして見上げて来る。顔をうんと仰向けているのは、そうしなければ青鬼灯の顔が見えないからだろう。ちょっと首が苦しそうだ。

 みゃああ、と鳴いた。

「お前…」

 青鬼灯は眉をひそめる。

「声が悪いなあ」

 しみじみと評した。



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