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法則の名前と作用

法則の名前と作用


 食後、竜軌は美羽の見る前で写真整理を始めた。

 美羽は喜んで竜軌が撮った写真に眺め入った。

(…覚えていない、か)

 正確には一芯と美羽は初対面ではない。だが一芯が、秀比呂の張った結界が崩れゆく中に姿を見せた時、美羽は茫然自失の体でそれどころではなかった。正気に返ったのは胡蝶の間に戻ってからだ。

 そして一芯は力丸の病室で、美羽に初めましてと言った。

 竜軌はそれを邸内にいながら聴いていた。

(抜け抜けと言いやがる。図々しい)

 美羽が笑った顔の写真を一枚、手に取る。竜軌に向けてだからこそ咲いた満面の笑み。

 負の感情が離れて気持ちが和む。

 美羽にくいくい、と暗緑のミリタリーシャツの袖を引かれた。

「ん?」

〝人の写真、撮るようになったね〟

「ああ、うん」

 人に向けてカメラを構えようとしなかった竜軌だが、美羽に出逢ってから変わった。

 実に解りやすい法則だ。

 他人にもそこそこ、愛着が持てるようになった。

 泣き、笑い、怒り、生きているのだと。

「お前がいたからだ。美羽が俺を変えた。怖いような作用を、お前は俺に及ぼす」

 竜軌が穏やかな顔で畳に広げた写真を覗き込みながら言った。

 棘など皆無の、打ち解けた声で。心を許し切った声で。

(私も、あなたが怖いよ)

 そんな顔を見せ、声を聴かせるだけで美羽を幸せにするから。



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