395/663
人生の訪問者
人生の訪問者
世界が変身してしまう朝がある。
生まれ直したように感覚がクリアーで清々しい。
変貌の明るさに喜びを覚え、ちょっとだけ怖気づく。
この新しい世界は大丈夫かしら、と。
幸福な夢を見た気がするが美羽は内容を思い出せなかった。
幸福で泣けそうに感じたことは覚えているのに。
竜軌は先に起きて美羽を見ていた。
大抵いつも、彼のほうが早く目覚めて美羽を見ている。
覚醒してすぐ隣に見守る瞳のある贅沢。
「おはよう、美羽」
「りゅうき」
おはよう、と美羽も返した。
おはよう、私のブラックダイヤモンド。
とびっきりの竜。
今日の世界が輝くようなのは、あなたのお蔭なんだろう。
さあ朝ご飯を食べよう。




