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※幻影の君

これまでのあらすじ。


荒太、倒れる。それは、陰陽師である彼を最も目障りとした朝林秀比呂の呪詛によるものであった。

しかし呪詛は秀比呂自身の身体をも苛む。今の彼には美羽への妄執しか残されていなかった。

幻影の君


 口から吐き出た液体の色が赤いことを秀比呂は確認した。

(そこはまだ、人ということか…)

 先の失態を振り返り、秀比呂は帰蝶に辿り着く道筋において最も障害となる人物を知った。

 それは信長につく陰陽師。

 だから信長本人ではなく、成瀬荒太に狙いを定めて呪いを放った。

 さすがは陰陽師と言うべきか、呪詛返しも受けた。

 荒太は自分に呪詛がかけられたと察知するや、呪詛返しの秘言を唱えた。

〝しかしくま、つるせみの、いともれとおる、ありしふゑ、つみひとの、のろいとく〟

 お蔭で秀比呂の腹は、燃えるように痛い。激痛に声を上げそうだ。

 更には妖術による呪詛を行った為のリバウンド。

 秀比呂自身が受けたダメージも決して小さくはなかった。

(だがあの男、死を免れようとしばらくは動けまい)

 動きは秀比呂のほうが早く起こせる筈だ。


 ひらひら、と目の前を淡い桃色の蝶が舞う。


 秀比呂は幻影に手を伸ばす。


「帰蝶。待っておれ。待っていてくれ。兄も行くから。そしてまた、私を愛しておくれ。また、いつかのように兎を共に食べよう。あれは、美味かったな。なあ、帰蝶………」



前述、『日本呪術全書』より引用。

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