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プレイ

プレイ


「…こうでしょうか」

「いや、もっと強く」

「…ではこれでは!」

「生温いっ。お前、それでも砕巖の主か!」

「然らばごめんっ!!」

「だだだだだだ!!締め過ぎだ莫迦、骨が折れるっ」

「も、申し訳もござりません」

 何だか莫迦っぽい、頭の悪そうな会話が騒々しく聴こえて来ると思い、美羽は目を開けた。

 それから、布団の横にある光景を見て、夢の続きだろうかと考えた。

 竜軌はサディストを自称していたではないか。

 その竜軌が蘭に縄で縛られている。蝋燭や鞭は見当たらないが、これから登場するのかもしれない。

「…りゅうき」

 目的が読めない作業に集中していた、或いはプレイに熱中していた男二人がハッと美羽を見る。

「見ろ、お前の要領が悪いから美羽が起きてしまった!」

「は、未熟者でございますれば、」

「りゅうき」

〝私はあなたを誤解していた。縛られて喜ぶのはどちらかと言えば蘭だと思っていたのに〟

 竜軌が蘭を詰ったあとに美羽が、枕元から取って文字を書いたメモ帳を示す。

 それを読んだ蘭が心外な表情になる。

「これはしたり、御方様。私は断じてそのようなマゾではございませぬぞ」

「どう考えてもMだボケ。それでな、美羽。俺は別に蘭に手首を縛られて嬉しい訳じゃないぞ。……疑惑の眼差しだな、おい」

〝私が寝てる間に、竜軌は蘭といちゃいちゃいちゃいちゃしてた。ひどい〟

 美羽は腹を立てていた。今では起き上がり布団の上に正座して、怒った猫が毛を逆立てるように気色ばんでいる。

 竜軌は美羽の言葉と態度を見て盛大に顔をしかめた。

「きっしょいこと抜かすな、阿呆。俺は後世に言われてるようなそっちの気はない。蘭の犠牲者とも言える身だぞ。今まで良いなと思った女がこいつの派手迷惑な顔に釣られてどれだけ流れたことか。猿と同じく俺は大の女好きだ。…いや、この場合の女はつまり、もちろん美羽一人のことだが。落ち着け、どうも少し、喋り過ぎたかもしれんが、俺は美羽だけを今までもこれからも愛している永遠に絶対」

 蘭は主君の加勢に回る。少なくとも彼は加勢しているつもりだ。

「そうですぞ、御方様。上様は御側室やお子こそ多くお持ちでしたが男色にはとんと興味を持たれぬ方で、徹底して女一筋でとにかく美女と見れば――――――――」

「口を閉じろ蘭。いつかの再現VTRか。美羽の怒りの火にガソリンを注ぐな。うわ、美羽、泣くな。最悪だ何でこうなる」

「あの、上様。一旦、縄を解きましょうか」

「早くしろ、美羽が泣きながら水差しと枕を振りかぶってる」



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