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※快哉

これまでのあらすじ。


竜軌の狙い通り朝林は犯罪者となり、竜軌は怪我から回復した。

無事、東京の新庄邸に美羽を連れ帰った竜軌は、暇を持て余した美羽が床下探検などのいたずらをしないよう、撮影に同行させる。

快哉


 キク科オナモミの果実には棘状の突起がある。

 俗称・ひっつき虫と呼ばれるのがこの類で、竜軌は自分たちにつきまとう草介を見ていると、子供時分、これを友人と投げ合って互いの服にくっつけようと遊んだことを思い出した。

 だが〝生き延び草介〟も滅ぶ日は来る。

『兄貴、すいません。俺、風邪ひいちまいまして』

 俺はこいつに番号を教えただろうかと怪訝に思いながらも、竜軌は非常に労わりある声を出した。台詞の内容を把握した瞬間、竜軌の心は凪いだ海のように大らかになったので、本心から親身な声音を発することが出来た。

「そうか、それは大変だな…」

『どうも、インフルエンザらしくて。インフルの奴、母ちゃんだけじゃなく、俺まで狙って来やがった。なんで、今日は、お供出来ません、面目ないっ。俺、悔しいっす!』

 ぜーぜーと荒い息を吐きながら、草介が声を絞り出す。

「いや、無理は良くない。ゆっくり休め。養生しろ。お前が謝ることなど、何一つ、無い」

 草介は竜軌の優しい声と言葉に感激したらしかった。

 すんません、美羽さんにお詫びしといてください、と言って草介は電話を切った。

 なぜ草介が今日は来られないことを、自分が美羽に謝罪しなければならない。

 そうも思ったが、竜軌の機嫌は上昇していたので、気にしないことにした。

 インフルエンザもたまには良い仕事をする。



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