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そうは問屋が
そうは問屋が
痛みに顔をしかめながらも、欲しがるのが男性なのかと美羽は呆れた。
ベッドに横たえられて。
「美羽。口を開けろ」
美羽が躊躇っていると催促する。
「早く。寄越せ」
唇を動かすと、待ち兼ねたように竜軌の舌が更にこじ開けて入って来る。
息苦しくさせて、蝶が喘ぎ声を上げないものかと竜軌は待ってみる。
吐息は洩れるものの、声までは聴こえない。
落胆しながらも舌を動かしていると、美羽が身体をよじる。
逃がさない。
いつまでそうしているのかと、美羽が本気で嫌がり始めても、竜軌は態勢を変えなかった。
もう、このまま喰らってやろうと、美羽のシャツに手をかける。
そして手をかけた途端、傷口に触れられた。唇を離さずにいられなかった。
「―――――――つぅ……お前。情け…、知らんのか……」
腰を押さえて呻く。
美羽は起き上がってベッドからさっさと降り、つんと横を向いて乱れた髪を直した。




