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つらら

つらら


 竜軌の入院する病院の周りは、しばらくマスコミがうるさかった。

 それでも文子は病院の近くにホテルを取り、蘭や坊丸らにガードされ、翌日から日参していた。美羽はひまわりに閉じ籠り、病院に行こうとはしなかった。

 真白や律子がどう言い宥めようと硬い表情のまま、竜軌の傷の状態も訊こうとしない。

 美羽もまた、この件では心に傷を負ったのだ。

(どうする気かしら。先輩)

 美羽は、竜軌が自分を裏切ったと思っている。

 美羽を置いて死のうとしたと。

 そしてそれは、あながち間違いとも言い切れない。

 自分の心を占める、愛する人が、自分を置いて逝く。

 女性にとって、これ以上の裏切りがあるだろうか。

 目的が美羽を守る為であろうと、美羽の怒りは正当ではないかと真白には思えた。

 シナリオに沿っている。

 そう耳元で言われた美羽。

(残酷だわ)

 悲鳴を上げ、竜軌の名前を叫んだという美羽。

 どれだけの痛手を彼女は蒙ったことか。

 この上はもう、竜軌が退院し、ひまわりまで足を運び、美羽に直接許しを請う他ないだろう。

(抱き締めてキスして土下座でもすれば良いんだわ)

 まだ自分も竜軌を許しているとは言えない真白は、そう思った。

 美羽の心が海の彼方まで離れたとしても、それは竜軌の自業自得なのだ。

 竜軌が刺された日以来、美羽は一度も笑顔を見せない。

 仮面を被ったかのような無表情で、毎日を過ごしている。

 果たして竜軌はこれで、美羽を守れたと思っているのだろうか。



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