神の剣
神の剣
坊丸と力丸と喋る美羽を、子犬にじゃれつかれる恋人を見守るように、竜軌は離れたところから見ていた。
(六王と同じで、あれらも帰蝶に懐いていたからな)
しばらくして美羽が竜軌のもとに戻って来る。
〝坊丸たちは、高校に行ってないのね〟
「ああ。それより武術の習得を優先した。あいつらは、新庄家の書生のような立場だ。蘭は親父の仕事の手伝いもするが」
〝しょせい?〟
「家事手伝いの傍ら、勉学に励む者を言う」
何だか古風だと美羽には感じられた。
〝神器のお話、いっぱいしてくれたわ〟
「そうか」
〝でも、まだよくわからなくて。神器は、最初から神器なの?〟
「そうしたものもある。神仏の類が手にしているもののように。だが俺たちのは少し違う。一生の上で苦楽を共にし、片時も主の傍を離れずにいた武器が、人格と神つ力…、不思議な力を得て神器となる。主の死に目に会った得物が、そうなる場合が多いな。だから戦国の生まれ変わりで神器を持つ者は多い。その力にも差があるが」
〝六王は、あなたの死に目に会ったのね〟
「そうだ」
〝真白さんの雪華も?〟
「あれは少し特殊でな。そもそも、真白は神に属する存在なんだ。荒太と共に在る為、人界にいるが。雪華の最強である所以も、そのへんにある」
美羽は目を見張る。
〝神様 なの?〟
「そうだな、微妙なとこだ」
竜軌は曖昧な答え方をした。




