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乱れて今朝は

乱れて今朝は


 自分が来ても、美羽が玄関ホールまで迎えに出て来ない。

 竜軌は訝しく思った。

 部屋まで行き、戸をノックする。

「美羽?」

 引戸を開けて部屋に入ると、頭からタオルケットを被った美羽がベッドの上に座っていた。山尾はいない。

「…どうした」

 タオルケットの中からもそ、とメモ帳が出る。

〝竜軌。私に近寄っちゃダメ〟

「なぜ」

〝私、思い出したの。あなたと した〟

「………」

 続きが無い。

「美羽。俺と何をしたの、を、思い、――――――…」

 タオルケットから垣間見える顔は赤い。

「閨のこと。ベッドシーンの記憶か」

 美羽が頷き、タオルケットの塊全体が揺れる。

「で、再現したくなったと?」

 塊が暴れるように動いた。否定しているらしい。

「言っただけだ。美羽。顔を見せてくれ」

 布に手がかかっても、美羽は大人しくしていた。

 乱れ髪の少女の顔は紅潮している。

「他に何か思い出したか?」

 美羽はかぶりを振る。

「そこだけか」

 美羽はますます紅潮し、真っ赤になった。

〝「きちょう」を調べようと思ったけど、結局、調べずに寝たの。そしたら、そこだけの記憶が〟

「そうか」

〝呆れてる?〟

「どうして」

〝いやらしくない?そこだけ、なんて〟

「幸せな記憶と言うことだろう」

 そういう風に言われると、美羽は一層、恥ずかしい。

 ベッドの上に竜軌も上がり、美羽を抱き寄せる。

「…早く家に帰りたいな、美羽」

 竜軌には珍しく、しみじみとした思いが滲む声だった。



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