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涼を取る

涼を取る


 施設内の廊下にある洗面台に、見知った顔が「ああ、ひんやり」と言いたげに寝そべっているのを竜軌は目にして、無視するか声をかけるか迷う。

「…おい、山尾」

 結局、声をかけた。

 猫がお、と起き上がる。

「これは、信長公。ご機嫌よう」

「別に良くはないが、何をしている」

「ここのタイルが、何とも冷たく、好い心地なのですよ。いや~、気持ち好い。今日も暑いですからねえ」

「………」

 この猫に籠ベッドを提供するのか俺は、と竜軌は思った。

「美羽に不埒な真似をするなよ」

「私はジェントルマンな忍びですので」

「余計なことも言うなよ」

「前生のお話ですか?」

 猫の金色の瞳が、瞬いて竜軌を見た。

「美羽様の目から幸福な記憶までも、お隠しになると」

「受けた傷がひどかった」

「それを信長公、あなたが包んで、癒して差し上げた。帰蝶様の一生を不幸と、みだりに断じなさいますな」

 グレーの毛並の、金の目の猫が、一瞬、人間の男に見えた。

「…お前のようによく喋る猫が一緒なら、あいつも寂しくないな」

「そうですとも、お任せください」

 山尾がこっくりと頷いた。



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