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君の過ごした家

君の過ごした家


 翌日、ひまわりを訪ねた竜軌は、信夫たちから改めて話を聴きたいと言われ、自分の知る範囲で、口に出来る真実を語って聴かせた。応接室に招かれ、施設長も同席した状態を見て竜軌は、彼らが本気で自分の話に耳を傾けようとしているのだと理解した。この機会を逃す手は無い。

 朝林秀比呂は美羽の敵であるのだと、彼らには認識してもらう必要がある。

 語り終えた竜軌に、施設長や信夫が幾つか質問をした。

「国立大学教授という重職にありながら、そんな非道な真似をする人間がいるものですか?」

 施設長は信じ難いと言う口調だった。

「僕の父も国会議員という重職にある身です。この際、双方の肩書は関係ありません」

 竜軌がそう言うと、考え込むように黙った。

 それから律子が、美羽に対して、本気で恋愛感情を抱いているかと竜軌に尋ねた。

 竜軌は迷わずに頷いた。

 結婚を考えているのかと更に訊かれ、これにも頷いた。

 孝彰はそれに賛成しているかと最後に訊かれ、良くは思われていません、と正直に答えた。

「しかしそれは大した問題ではありません。父と僕は違う人間ですから。意見が対立する時もある。それに父も僕も、好い大人です」

 律子は竜軌に真っ直ぐ目を据え、諭す声音を出した。新庄家で会った際に比べると、彼女の態度はだいぶ軟化している。

「あなたにとってはそうでも。女性にとって、ましてや美羽ちゃんのような身寄りのない女の子にとって、好きな男性の父親から否定されるというのは、辛いものですよ」

「――――――確かに、そうですね」

 この女の言うことは尤もだと竜軌も思った。

 そして、律子のような女性が、美羽を育てた施設にいて良かった、とも。



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