表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/663


 次の日はよく晴れていて、手を繋いで歩いた。竜軌が、そうしたいと言ったのだ。

 竜軌の話を、美羽は首を色んな方向に動かしたり、表情を変えたり、口を大きく動かしたりしながら聴いた。

 竜軌の声は、低くてゆっくりとして、いつまでも耳にしていたいように耳に響いた。

 不意打ちでキスされた時は、一応、怒って見せた。

 本当は嬉しかった。待っていた。


 その次の日は、竜軌はカメラを持って来ていた。

 スーツに、カメラバッグを斜め掛けして。

 海や空、寄せては返す波を真剣に写していたので余り会話は出来なかったが、美羽は竜軌が撮影するところを見るのが好きなので、不満は無かった。

 お前も撮るが気にするなと言われて、美羽は却って強張った。

 竜軌は笑っていた。


 異変が起こったのは、そのまた次の日だった。

 砂浜を歩きながら、美羽が書いた言葉を読んでいた竜軌の表情が、微妙に変化した。

 夜の帳が落ちたようにあたりが急に暗くなり、美羽はキョトキョトと周囲を見回す。

 真っ暗闇だ。深くて黒くて、竜軌の瞳のような。

 空も海も見えない。消えてしまった。

「落ち着け、美羽。俺の結界だ」

 竜軌が短く説明する。

 結界。

 神つ力というものを持つ者、もしくは、術者と呼ばれる存在であれば、それを張ることが可能なのだと、剣護が教えてくれた。

 普通の人間は結界に関与出来ず、また、普通の人間を閉じ込めることも出来ると言う。


 普通の人間、にはとても見えない、体格の良い男たちが、急な暗闇に戸惑いながらも、美羽たちを取り囲んだ。ざっと十人以上はいるだろうか。全員がカーキ色の衣服に身を包んでいる。警棒よりは太い、棍棒のような物を持っている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ