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必ずと胸に
必ずと胸に
美羽と初めて逢った時。
あの女だと、直感が告げた。
彼女のことは見間違うまいと、それだけは自信があった。
玻璃細工の蝶。
(俺の蝶)
苦しそうな顔で、砂浜を一心に歩いていた。
信じたいものが信じられず、打ちひしがれて生きている。
今生でも傷を負っていることを見て取り、今生でも傷を負って尚、美しいと思った。
失われない誇り高い輝きが、滲む血の間に見えた。
やはり竜軌を魅了する。
喜びと痛ましさが同時に湧いた。
そして、やっと辿り着いたお前を、幸せにしてやると思った。
以来、竜軌はその為に動いている。




