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問題用紙

問題用紙


 ひまわりでは施設を訪問する人間を、担当者が常時、受け付けでチェックすることになっている。施設の子供たちを守る為のシステムだ。

 その日の午後、担当だった冬木信夫は、自分の目にした出版社を異にする雑誌の記事について思いを巡らせていた。

 片や政治家・新庄孝彰とその息子が、里子に性的虐待を行っていると書き。

 もう一方では、彼らはストーカーの某大学教授から里子を守ろうとしていると書く。

 記載する内容が全く違う。白と黒、黒と白だ。

 後者を書いたフリーライターは、これまでに政治絡みの記事を度々世に出して、時に政治家らの不正を暴き、その内容の確かさは業界でも信用を得ていると聞く。新庄孝彰におもねるような記者ではないと。

 もしそれが真実であるならば、自分たちは大変な愚行を犯したことになる。

 しかし政治家とは油断ならない。実に巧妙な人種なのだ、と信夫は常々、考えていた。

 自分たちには美羽を守る義務と責任がある。諸々の判断は慎重に下さねばならない。

 玄関ホールに入って来た男は、真っ直ぐ信夫に向かい歩いて来た。

 白いポロシャツに、茶のスラックス。

「こんにちは。…面会の方ですか?」

 信夫は清潔そうな身なりの男に尋ねながら、来客者が名前等を記入する用紙を挟んだバインダーを持つ。

「こんにちは。はい、そうです」

「こちらには予め問い合わせなど、しておられますか?」

「いいえ、そういう手続きをしたほうが良いとは、思わずに参りました。知人が、こちらにいるので。会いに来たのです」

「そうですか。誰にでしょうか」

「新庄美羽さんです」

 信夫の背に緊張が走った。

「――――――失礼ですが、彼女とはどういったご関係ですか」

 朝林秀比呂は爽やかに笑った。

「婚約者です」



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