prologue
この小説は未完結なうえに物凄く長いです。冗談抜きで本当に長いです。読むには気合と根気と挫けぬ心が必須になります。
2017/12/06追記
長く時間が掛かりましたが、ようやく完結いたしました。
文字数がとても長く、マイナージャンルではありますが、読んで頂ければ幸いです。
その日は晴れていた。
空にはいくつもの星が見えて――――。
地面は雨で静かに濡れてゆく――――。
それは奇怪な夜だった。
空は雲一つ無く晴れているのに雨が降り――――。
空に月が無いのに明るかった――――。
その闇夜に照らされて少年は立ちすくんでいた。
立ちすくんでただ、目の前の情景を見ていた。
自分の瞳が映しているのは……。
赤く、赤く、地面を紅赤で染め濡らしているモノ。それを雨がさらに濡らしていく。
少年は自分だけ時が止まったようにそれを見ている。息をする事さえ忘れて。
息を吸っていたのか、それとも吐いていたのか……それすら忘れている。
いや。
忘れている事さえ忘れている。
止まった時間は一瞬のようで、永遠のようで……。
耳に入ってくるのは雨の音だけ。ノイズのようにうざったく耳障りな、雨の音。
少年の時間は止まっているのに、雨音だけは聴き取り、認識している。
そう、時が止まっていても頭だけは動いていた。
ただ――――。
なにか五月蝿くて
なにか言いたくて
なにか許せなくて
なにか腹立たしくて
なにか悲しくて
少年の頬を伝うのは雨なのか、それとも別のものなのかは分からない。
雨に打たれ、止まっている時間の中、延々と“なにか”を繰り返す。
止まっているのは一瞬。
それは人から見たら。
一瞬を止めれば、それはそこから止まる。一瞬止まるのではなく、一瞬が止まる。
一瞬が止まればそれは永遠。
それは一瞬のようで、永遠のよう――――。
しかし、それを抜けて時間が動いた時。
その時はきっと、自分が壊れる。自分で自分を壊す。
このまま時が止まっていれば、ずっと"なにか"を繰り返し―――――。
動き出したら自分が自分を壊し始める――――。
そう。
それはまるで――――。
――――悪い、ユメのよう。