8、バナナコロシアム決闘中
先手必勝、私は鐘と同時に妖怪に向かって行き剣を振り下ろす。しかし妖怪はぎりぎり避ける。続けざまに剣を2、3度振るがまたしてもぎりぎりの所で当たらない。スピードは妖怪の方が僅かに上か。
妖怪は【黒光りバナナソード】を警戒しているらしくなかなか攻撃してこようとしない。これでは埒があかない。
私はバナナコロシアムの内壁に沿って植えられている様々なバナナの木を見回した。そして目的の武器を発見した。バナナブーメランとバナナ銃だ。
バナナブーメランはバナナの先端が鋭くなっていてブーメランのように戻ってくる。バナナ銃はバナナの皮を剥くと中の米粒ほどの大きさのバナナの種が勢い良く前に飛び出す銃のようなバナナだ。どちらもなかなかの威力を誇る。
私はその2つの武器で妖怪を攻撃した。
流石の妖怪もこの2つの武器の攻撃に避けるのが精一杯といった所だ。徐々に焦りの色が見える。
私は妖怪がバランスを崩した所を逃さず【黒光りバナナソード】を妖怪の頭目掛けて振り下ろす。
ガキィィィン!!
金属がぶつかるような音がして、私は目を疑う。
「ば、馬鹿な」
妖怪が【黒光りバナナソード】を両手の爪で防いでいたのだ。
「フッ、ハッハッハッ。【黒光りバナナソード】の威力はこんなもんか。心配して損したぜ」
妖怪は高笑いして言った。
「じゃあ、今度はこっちの番だ」
妖怪はそう言って立ち上がった。
「くっ!」
私はバナナコロシアムの内壁周りに埋められている色々な武器を使うためにいったん妖怪から離れた。
硬いのは奴の爪だけのはず。奴の体や頭にヒットさせればなんとかなるはず。
私は競技場にある全てのバナナの武器を使い攻撃したが妖怪には通用しなかった。
万策尽きた私はなりふりかまわず妖怪に向かって行き、剣を横に振った。
しかし、妖怪は簡単に受け止める。
刹那――ピシピシピシと小さな音が響く。
見ると【黒光りバナナソード】の表面にひびが入っていた。
すぐにひびは剣全体に拡がり、オリハルコンがぽろぽろと地面に落ち、中身が剥きだしになった。
「そ、そんな」
私は声にならない声を呟いた。




