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病弱な幼馴染はいつ死ぬのでしょうか

作者: ぺいた
掲載日:2026/08/14

私の婚約者であるエドワード様が、かわいらしい女性をエスコートして夜会に現れた。


私とエドワード様の関係を知っている皆様がざわつく。


「リリア、あれはどういうことだ? エドワード君は、なぜお前を放置して、見知らぬ女を連れてここに来ているのだ」

私をエスコートしてくれたお父様が、怒りをあらわにして聞いて来た。


「お父様、あのかたはたぶん、エドワード様の幼馴染のノーマ様ですわ。病弱なので、今日も看病に行くからと、私に断りを入れておりましたから」


「看病どころか、元気じゃないか! ほら見ろ! 踊り出したぞ! どこが病弱なのだ!」


「お父様、エドワード様が、私に嘘をつくわけがありません。ノーマ様は本当に病弱なのですわ。それなのにここで踊っているということは…」


「踊っているということは?」


「きっともう長くないのです」


お父様が驚いて目を見開く。

「あんなに元気そうなのに!?」


「だって婚約者である私をないがしろにするんですよ? よっぽどの訳があるに決まってるじゃないですか。きっとノーマ様は余命1か月ほどの命に違いありません。最期の思い出に、命の灯を燃やして、ここで踊っているのですわ」


「1か月…とてもそうは見えないが…」


「ろうそくは、消える直前に一番輝くと言います。ノーマ様もきっと…」私は悲しそうに目を伏せた。


「婚約者がいるのに他の女と?」と、非難がましい目で見ていた人たちも、その会話を耳にしていたのだろう、「そういうことならしかたないか」という雰囲気に変わった。


その後も、エドワード様は「ノーマが熱を出したんだ」「ノーマが具合を悪くした」と言っては、私との予定をキャンセルした。それを知った私の家族は、「エドワード君の家に抗議をする」と言っていたが、


「もうすぐ亡くなる幼馴染を、看取りたい気持ちはわかりますわ。せいぜいあと2週間、許してあげてくださいませ」


と言うと、「2週間か…それならしょうがないか」という空気になった。


その後の夜会でも、お父様のエスコートで出席する私を見て、「エドワード様は?」と聞いてくるお友達は多かったが、「ノーマ様のところですわ。でもしかたがないです。幼馴染が危篤だったら、そっちを優先するのは当たり前です」と言うと「危篤…それならしょうがないですね」と納得していた。


余命のはずの1か月を過ぎて、またエドワード様がノーマ様を連れて夜会に現れた。


「生きてる」

「まだ生きてた」

「危篤じゃなかったの?」


という目で皆が見ている。居心地の悪さを感じたのだろう、エドワード様が私のところにやってきた。


「リリア、君が何か言ったのか?」


「何のことでしょう?」


「私を見る目が冷たい。私はたしかに君との約束よりノーマを優先したが、それは彼女が病弱だからだと説明しただろう? 君はわかってくれてるんじゃなかったのか?」


「わかってますわ。ただ、婚約者より優先するほどの病状のかたが、まだ生きてることに、皆さん驚いてるだけだと思います」


「なんだって?」エドワード様が気色ばむ。

「そんな、生きてちゃいけないような言い方するなんて」と、ノーマ様が私を睨む。


「だって、エドワード様はノーマ様を看取るために行ってるんだと思ってましたから…」


「縁起でもないことを言うな! ノーマは病弱なだけで、死ぬような病気ではない!」


「ということは、夜会にも出られるような、たいした病気でもない人を優先して、私をないがしろにしたということですか?」


「それは…」エドワード様が言い淀む。

「死ぬかもしれませんでしたわ!」ノーマ様が元気に叫ぶ。


「エドワード様が来てくださらなかったら、心細くて死にそうでしたわ! だから、私が生き永らえているのは、エドワード様が来てくださったおかげで、奇跡のようなものなのです!」


「では、エドワード様が来る限り、死なないということですね?」と言うと、


「そうよ! 来なかったら死んじゃうのよ!」と答える。


「だったら、私との婚約は解消して、エドワード様はノーマ様と婚約を結び直すべきですね」


「いや、なんでそうなる!」エドワード様があせった顔になった。

そうよね、うちに婿に来る話がなくなったら、三男であるあなたは、平民になるしかないものね。


「幼馴染を看取るためならしょうがないと思っていましたが、『エドワード様が来ると死なない』という特異体質なのですもの。看取ることは不可能ですよね。余命が残り少ないと思っていたから見逃していたのであって、死なない幼馴染を優先する婚約者などいりませんわ」


「よく言ったリリア! すぐに帰って書類を作らせよう!」お父様が嬉しそうに私をエスコートする。


「いやちょっと待ってくれリリア!」

すがりつくノーマ様、それを振り払って追いすがろうとするエドワード様に一瞥もくれず、私は途中退席する非礼を詫びて、帰りの馬車に乗った。


その後、エドワード様とノーマ様は平民となって商売を始めたが、ノーマ様が店先に出るたびに「まだ生きてた!」と子供にからかわれているらしい。いい気味だわ。

病弱な幼馴染をリクエストくださった青山様、ありがとうございます。

気に入ってもらえるといいんですが。


8月16日、[日間]異世界〔恋愛〕 - 短編で2位いただきました。

とても嬉しいですーー! ありがとうございます! ぺこりぺこり!


エドワードを反面教師にしたような話も書きました。良かったらよろしくお願いします。

「婿の心得」https://ncode.syosetu.com/n8469mp/

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― 新着の感想 ―
まぁそうなるよね〜〜!! 婚約者より優先する幼馴染、そりゃすぐ死ぬんでは??と思わなければやってること意味不明ですもんね…! 婿入りなのになにしてんの??? って思われるしかない流れよね…。いや嫁入り…
抗議っていうか、婚約者&当主と多数の貴族もいる夜会で 看病するって言ってる令嬢と踊ってたら、不誠実な入婿は 要らないって次の日に言っていいと思う。たとえ騙されてても 出席者を調べないor知ってても悪い…
そもそも婿入り予定だったくせに、何の覚悟もなしに幼馴染優先するのは頭悪すぎるでしょ……。
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