表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/21

第九話 続・国作り

第八話を投稿します!よろしくお願いします!!

瓦礫の街は、次第に復興の色を表していた。

石造りの門、簡素な家、小さな屋台。


その中で、俺はアリアに懐く、馬の像を見ていた。

「可愛いわよ。ブルちゃん。」

「ブルちゃん?」


「ブルルって言うからブルちゃん。」

「何だそりゃ。」


俺がかつて書いた陽炎馬・ヴァルウィザードもこう見ると形無しだな。

嬉しいやら、悲しいやら。


その時だった、

カチッ。小さな音がした。

「ん?」

俺は石像を見る。

黒い結晶だった中心。

そこに、ポゥ。と小さな火が灯った。


「灯陽。なんだろう、これ。」

アリアが指を指す。その瞬間。

パチッ、

広場のたいまつに灯が灯った。


誰も触っていない。

それなのに、パチッ、パチッ、通りの明かりが順番に灯る。


「おい!見ろ!」

村人の声が上がる。


「これは、なんと不可思議な……」

「おう?何が起きてやがる?」

「なんだ?魔物が来たのか?」


村の者たちも続々と広場に出てくる。


「誰か燃したのか?」

「いや、勝手に着いたよな。今。」


驚きの声が上がる。


「なるほど。」

リナは、像を指さした。


「火の魔物の魂。その力の一端が街に流れているのかも知れません。」


「じゃあ……」

「ブルちゃんが街を明るくしているの?」


「そういうことだな。」

灯陽は笑う。


「じゃあよ!!水の魔物倒したら井戸いらないんじゃね!!」

「俺、焼き肉の魔物!!メシ食い放題!!」

「なんだそりゃ!!」


文明開花。この国は始まって以来の希望に包まれた。


それから、

俺は記憶から思い浮かんだモンスターを片っ端から記していき、インフラ設備に使えそうなモンスターを見つける試みを始めた。

モンスターは俺の夢のかけらだ。どれも強く、討伐は危険だ。

まず、ギリギリ皆で勝てそうなくらいのモンスターを探す。

弱点が明確なら尚良し。ここの見極めが重要だ。


「淵水龍・ガリオス ウォーターカッター並みの水流を放つ。……危険過ぎる。はっ、伝説魚・マーヌン!!。きれいな川に生息する超巨大魚。温厚で特殊能力はないが、怒らせると群れを巻き込み大暴れ。増水時は危険だが、干潮時にはピチピチするだけで殆ど攻撃できない。これだ!!」

まあ、こんな感じでちょうど良い奴を見つける。


それを班を分け、斥候を立てる。

「よし!!西の湖でマーヌンの目撃情報が出た!!そして、ここ三日以上雨が降っていない。今がチャンスだ!!準備ができ次第狩りを開始する!!」

「頼んだぞ、カイル。」

「ああ。任せとけ。俺たちにはこれがある。」

カイルは紋章が刻まれた腕をみせる。

これにも意味がある。


石像が火を灯してから数日後。

俺は考えていた。

アリアが昔使っていた、

《天秤契約・審衡崩界バランス・ジャッジメント

そして、

《機神契約・鉄壁王城グローリアス・ウォール

機神の契約者達は、皆代理で能力の一部を使用していた。

つまり、

「なあ、アリア、思ったんだが、契約をすれば、代理で魔物の機能を行使出来るんじゃないか?そうすればさ、魔物、楽に倒せるんじゃないか!?」

「うん、そうかもね……。」

アリアは苦い顔をしていた。

……あ。やってしまった。国を強くしたいがあまり、俺は大事なことを忘れていた。

アリアは四機神アウレリウスの権能を行使していた。その時の苦痛は計り知れないものだったろう。

「あ、ごめん。いいんだ。俺が悪かった。気にしないでくれ。」

「いや、でも必要だよね。決戦の日も近いし。私もそう言われるって思ってた。」

アリアは続ける。

「神の刻印は、解らないことが多いの。もしかしたら、微弱な力なら代償は軽く運用できるかもしれないわ。明日、リナさんに聞いてみようか。神官なら、何か解るかも。」

「……ごめんな」


俺がそう言うと、アリアは少しだけ首を振った。


「謝らなくていいよ。」


広場の向こう。

ブルちゃんの像の炎が、静かに揺れている。

「灯陽は、この国のこと考えてるんでしょ。」

「……まあな。」

「だったら、私も同じよ。」

アリアは炎を見つめたまま言った。


その時、後ろから声がした。

「おーい、灯陽。」

振り向くと、カイルが手を振っている。

「明日の狩りの準備はできてるぞ。」

「西の湖の斥候も戻ってきた。」

「マーヌン、やっぱりいたらしい。」

「そうか。」


俺は立ち上がる。

「よし。じゃあ、また行こう。指揮は頼んだぞ!」


カイルはニヤリと笑った。

「任せとけ。」

そして、ふと俺はカイルの腕を見る。


「そういやよ。」

「これ、なんなんだ?」


カイルが見せたのは、腕の内側。

そこには、うっすらと浮かぶ白い紋様。


俺は思わず近づく。

「……それ。どうした?」

「いや?」

カイルは首を傾げる。

「像が光った日から、なんか出てきた。最初は傷かと思ったけどよ。消えねぇんだ。」

アリアも覗き込む。

「これ、街の紋様に似てる。」

俺は地面を見る。石畳に走る、白い魔法陣。

街を巡る魔力の線。そして、カイルの腕。

同じ形。同じ流れ。

その瞬間、背筋がゾクッとした。

「刻印だ。」

「え?」

アリアが俺を見る。

俺はゆっくり言った。

「街が、魔物の力を吸収した。」

「ブルちゃんの火を。」

「そして、その力が――」

俺はカイルの腕を指差す。

「人に流れてる。」

沈黙。

カイルがポカンとする。

「……つまり?」

俺は言った。

「契約だ。国と人の」

アリアが小さく呟く。

「神の刻印……じゃなくて。」

「国の刻印……?」

その時。

カイルの紋様が、微かに光った。

次の瞬間。

ボッ

小さな炎が、カイルの手のひらに生まれた。

「うおっ!?」

炎はすぐに消えた。

だが――

俺とアリアは顔を見合わせる。

契約。刻印。

俺はブルちゃんの像を見る。

炎が静かに揺れている。

「これは……」

胸の奥で、何かが確信に変わった。


刻印は元々杖を持っているアリア以外の国の人々全員に宿っているようだった。

もちろんオレにも。


「私もブルちゃんの刻印欲しかったなぁ」

と残念がっていた。芯の強い子だ。あんなことがあったのに。


そして問題の代償だが、これは特に影響がないらしい。

神の権能は使うと刻印がひどく痛み、視界はかすみ、三日はその状態が続くらしい。


リナが言うには、やはり神の力は強大で人に扱えるものではないが、微弱な力を媒介するだけなら影響はないのかもしれないと言っていた。

しかし、あまり身体に良い物ではないので個人の代理執行は避けるべきと言われた。


俺たちはとりあえず契約執行は戦闘の時と火が必要な時のみに定めることにした。

ヴェルオリオン王国史上初の法整備だ。


こうして、俺たちは

干潮の日は無力なマーヌンをはじめとし、

無風の日は弱い風鷹王サイクロ。

雨の日は泥になって動きが鈍くなる超岩獣ゴンドス、

など、狩りに成功。

街は続々と発展していった。


「よし、そこだ。そこを盛り上げろ!!」


大工ガルドが腕の刻印を光らせる

ゴゴゴ

土が盛り上がり、石が並び、壁の形をつくる。

超岩獣ゴンドスの力。

「ははは!!これなら一日で家が建つぞ!!」

今まで数週間かかっていた工事が数日で終わるようになった。

道路はまっすぐに整えられ、

広場は広く作り直される。

「こりゃ俺も廃業だなぁ。がっはっは!!」


調理場

「火入れます!!」

料理人の刻印が光る。

ボッ

小さな炎が生まれる。火の刻印。

「よし、もう湧いたぞ。」

「こりゃ便利だな!!」

肉を焼く、パンを焼く、スープを煮る。

今まで火をおこしていた作業が一瞬で終わる。


ビュウ

強い風が生まれる。旗が大きくはためく。

「合図だ!!」

空の向こうから石造りの鷹にのった男が飛んでくる。

「偵察、終わったぞ。」

「ありがとう、カイル。どうだった?」

「騎士団はまだ来てないな。」

「そうか。」

風は旗と鐘を鳴らす。街の連絡網が出来た。


「じゃあ水行きます!!」

アリアの声と共に文様が光る

サラサラサラ。

「おおお!!」

村人達が声を上げる。

もう川から汲んでくる必要はない。

水は自然に流れる。

水路の完成だ。

ちなみにトイレは水洗になった。

地味に嬉しい。


ただ。

「痛てて、やっぱ長くは使えねえなあ」

そう。作業などに使ってるうちに代償はしっかりあることが判明した。

力を直接持つアリア以外は必要な時だけに使う。

そういうルールになった。


―――――――――――――――――――


夜。

名もない辺境の村。

山と森に囲まれた、小さな村だ。

いつも通りの夜。


その時、

空に光が走った。

ドン、ドン、という重い音。

「なんだあれは……」


白い鎧、胸には神紋。

神の国、ヴァルハイト騎士団。


「本日は、どのような御用で……」


騎士は何も言わずに、白い石をかざす。


「神力反応ゼロ。適合者比率、適正を満たしません。」

「お待ちください!!この村は何も――」


騎士団長――アルトゥス・ヴァルグレイブがゆっくり首を振った。


「問題ではない。」

シャッ。村長の首が落ちる。

「この村は役に立たない。神の世界に、無駄は不要だ。」

「選定。」「選定。」

騎士団による選定。狂信的、それでいて、残酷。

村は一瞬で混乱に包まれる。

女が子供の手を引いて森へ走る。


森の中。逃げのびた人々が休息している。

「どうして。」

むせび泣く人々、

「神に見捨てられたのだ。」

「絶望だ。もう希望はないのか……?」

「……噂を聞いた、神に逆らった街の噂だ、」

「ヴェルオリオン。人都ヴェルオリオン。そこへ行けば助かるかもしれない。」

人々は一縷の希望を背に、歩き出す。


ある日、

城門は人でごった返していた。

「いや、なんか人、多くないか?」

灯陽は頭を抱える。


急造の街に急増する人口。

あまり良くない状況だ。


家も食料も足りない。

このままでは街が崩れる。


「じゃあ、田畑を広げたらその人が土地をもらえるって言うシステムはどう!?」

おおお!!と人々は湧き上がる。

「いや、それだけは止めとけ。」

灯陽が手を挙げた。

「え?」

「それやると、あとで国が詰む。」


皆が首を傾ける。


灯陽は少し遠い目をした。


墾田永年私財の法。荘園。歴史の授業で習ったやつだ。

「土地を私有化しすぎると、後で国の土地がなくなる。王が弱くなって無法状態になる。」

「何でそんなこと知ってんだ?」

カイルが眉を潜める。


「歴史だよ。」灯陽は即答した。

歴史の授業、真面目に受けといて良かった。国の領主をするときに役に立ちます。


灯陽は地面を見た。

まだ整備されていない外郭。森。空き地。

「街を広げる、新しい区画を作る。家も道路もまとめて作る。」

建築班の職人たちが顔を見合わせる。

「できるのか?」

灯陽はニヤッと笑った。

「できるだろ。俺たちには、土の刻印がある。」


その日の午後。

「よし!区画整備開始!!」

土の刻印が光る。

ゴゴゴゴ……。

地面が盛り上がる。道の形が出来る。

「すげぇ……」

難民達が息をのむ。

さらに、石が動く、壁が並ぶ、家の骨組みが一気に立ち上がる。

大工ガルドが叫ぶ。「そこ曲げすぎだ!崩れるぞ!!」

土の壁が少し戻される。職人達が配置を換える。

刻印は力。だが、形をつくるのは人間の知恵だ、


作業は一日中続いた。

そして夕方。そこには、一本の通りが出来ていた。

整えられた道路、並ぶ家の土台。水路の溝。新しい町区


「……街が出来てる。」

難民の男がつぶやく。


灯陽は腕を組んだ。

「ここは第二区画だ。住む場所は順番に割り振る。」

「土地は国のもの。家は住民のもの。今はそれでいく。」

誰かが言った。

「まるで王みたいだな。」


灯陽はその言葉に思わず吹き出した。

「やめろよ。俺はただの村長みたいなもんだからさ。」


その日、ヴェルオリオンは「拡張する街」

になった。


人はさらに集まり、畑は外へ広がり、家は並び、小さな村は都市へと変わり始めていた。



「よし、」

灯陽は決心した。建国からインフラ設備、そして民が増え、ここまで来た。

そう来れば最後にやるべきは……。

「国防を考えよう。」


その言葉に、周囲が静まりかえった。

「……国防?」

カイルが眉をひそめる。


「街は大きくなった。でも守りはほぼゼロだ。」

灯陽は外郭の方角を指差した。

まだ整備されていない森。むき出しの平原。


「敵が来たら、そのまま入れる。」


「敵って……魔物か?」

誰かが聞いた。

灯陽は少しだけ考えてから言った。

「魔物だけじゃない。」


選定神ヴァルハイト、それから、騎士団。

その言葉は口には出さなかったが、皆もなんとなく理解していた。


静かな空気の中で、ガルドが腕を組む。


「じゃあ、城壁だな。」

「城壁?」

「街を囲む壁だ。あれがあれば簡単には入れない。」

ガルドは地面を足で軽く叩いた。

「普通は何年もかかるが……」

そこでニヤリと笑う。

「土の刻印がある。」


ガルドが職人達を呼ぶ。


「おい大工ども!仕事だ!」

「また無茶言うんだろ!」

「どうせやるんだろ!」


笑い声が上がる。


灯陽は地面を指した。

「街の外周を囲む。高さは……とりあえず人三人分。」

「結構あるな。」

「防御は高い方がいい。」


ガルドが頷く。

「やるぞ。」

その瞬間。


土の刻印が光る。

ゴゴゴゴゴ……。

地面がゆっくり盛り上がる。

「うわ……!」難民達が驚いて後ろに下がった。


土が波のように動き、壁の形を作る。

職人達が声を上げる。


「そこ厚くしろ!」

「角は丸めるな!」

「崩れるぞ!」


ガルドが叫ぶ。


「灯陽!門の位置はどこだ!」

「南側!街道につながる!」


土の壁がゆっくり開き、門の形が作られていく。

一日中作業は続いた。そして夕方。


街の外周の一部に、長い土壁が出来ていた。

「……すげぇ。」

誰かがつぶやく。

「本当に……国みたいだ。」


灯陽は少し照れくさそうに頭をかいた。

そこへカイルが近づく。


「守りを作るなら、見張りも必要だな。」

「見張り?」

「塔を建てる。交代で警備する。」

灯陽は頷いた。

「いいな。それやろう。」

こうしてヴェルオリオンには

城壁、城門、見張り隊が生まれた。

ヴェルオリオン警備団の完成だ。


小さな村だった街は、ついに、守るべき国になり始めていた。


そして――

明くる日、遠くの空、白い光が走った。

「ん?」

光はひとつじゃない。

二つ。三つ。四つ。ゆっくりと近づいてくる。

胸の奥がざわつく。

「ヴァルハイト……」

白き騎馬が人都ヴェルオリオンへ向かっていった。


読んでいただきありがとうございます!!

今日、仕事で滅茶苦茶重くてでかい物を運びました。200キロくらい?一瞬人力で支えてしまい、

支えた瞬間一瞬で潰れましたがどうにか助かりました。巨獣と戦う灯陽の気持ちが分かりました。笑。

さ、気を取り直して、

面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価、感想などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ