第十九話 創造神の”理想”顕現
第十九話を投稿します!!物語もいよいよクライマックス!!よろしくお願いします!!
「ここから先は“創造“で語るとしよう。」
『理想世界顕現』
世界が、書き換わる。
――ゴォォォォォッ!!!
足場が崩れ、空間が幾何学的に折れ曲がり、無数の“概念”が具現化していく。
都市、海、空、戦場、廃墟――
あらゆる世界の断片が、同時に存在し、同時に崩壊していく。
「創造とは、“可能性の確定”だ。
曖昧な未来を排し、唯一の正解へと収束させる力――」
その言葉と同時に、世界が“固定”されていく。
無数にあった可能性が、一本に絞られる。
――スウウウウウウ……。
現れたのは異質な世界。灯陽の目が理解を超えているのだろう。
靄のかかった究極の世界。
その中から、何かが現れる。
「理想騎士――行け」
モンスター、物体、人、全ての可能性を固定した、改律神の不完全な兵とは比べものにならない、威容。それらが激流の如く襲いかかる。
全てが「そうなる」と決まっている。
だが――
俺は、動かない。
ゆっくりと、ノートを開く。
「……なるほど、そうやってやるのか。」
「なら――俺の創造は、逆だ。」
バチィィィッ――!!!
光が弾ける。
「創造とは、“可能性を閉じる力”じゃない。」
俺の足元から、無数の分岐が広がる。
道が増える。未来が増える。選択肢が爆発的に増殖する。
「“可能性を増やし続ける力”だ!!」
不完全で、歪で、だけど確かに息づく世界。
泥だらけの街。壊れかけの建物。
それでも笑い、怒り、支え合って生きてきた――俺たちの世界。
目の前にいるのはアリア
「灯陽!!また良かった。また会えて。」
「ああ。皆で、神を否定する。行くぞ。」
ガタガタガタ……
「ん?」
けたたましい音を鳴らして現れたのは、あのピンクの軽自動車。
「来たぜ灯陽!!何か変わったな?」
「特大の大砲を浴びせてやるぞ!!がっはっは!!」
砲台を無理やり増設している車と石のドラゴン部隊も来ている。
そして背後にはあの俺たちが作ったヴェルオリオンの街。
「灯陽様に続け!!」「紋章隊構え!!」
「……お前ら……」
胸が熱くなる。
「来てくれたのかよ……!」
カイルが笑う。
「当たり前だろうが。全部お前一人でやらせるかよ。」
アリアも頷く。
「これが“あなたの創造”……人と繋がる力ね」
「灯陽!!騎士団も参戦するぞ!!」
「この声は……。」
かつて戦った騎士団長アルトゥスの姿。
「アルトゥスじゃないか!!これは心強い!!頼んだぞ!!」
「任せろ。この剣に誓って全てを守る!!」
鎧の軋む音と共に、騎士団が剣を掲げる。大地がかすかに震え、剣を掲げる騎士団の影が一斉に揺らめく。光の反射が戦場をまぶしく染め上げる。
「灯陽よ。我らも来たぞ。」
その背後には人知を超えた超越者たちの姿。人間とモンスターが共生した未来。
天使達の翼のはためきで、空気が揺れる。神獣達の雄々しい進軍は地面を揺らす。
「アゼルさん!!それに天使たちも!!」
「我らはセラフィム神の救済に頼らず、自らの意思で立つことにしたんだ。」
「そうか。これは神の意志に背く戦い。凝り固まったお考えの創造神様に一泡吹かせる戦いだ。アゼルさん達も思う存分アイツに“答え“てやってくれ。」
「いくぞ兵達よ!!創造神に我らの答えを示すのだ!!」
轟音と共に超越者たちの進軍が今始まる。
「おいおい!!俺たちも忘れんなよ!!」
「ジェネラルゼグマ!!来てくれたのか!!」
「当たり前だろ。灯陽の戦いは俺の戦いだ!!行くぜアウェイクド!!」
機械仕掛けの鎧が軋み、ドローンやロボット、おもちゃの兵団たちが今目覚める。
おもちゃだけではない。木、地面、巨大な岩。街のあらゆる無機物が今この地に集まる。
ズン……ズン……ズン……、それはこの地を埋め尽くすほどの数だ。
「「「オレタチモ、タタカウ。タタカウ。」」」
無機質な声。しかし、その背に宿るのは確かな“意志”。
空気が裂け、戦場の全てがその瞬間、熱と力に包まれた。
騎士も獣も天使も街の人達も動く物達も全てが一つの覚悟の渦に包まれている。
そして――
「よし!!皆行くぞ!!創造神に俺たちの意思を見せつけてやる!!」
――ドォォォォォン!!!
理想騎士が迫る。
完全無欠、揺らぎのない“正解”の軍勢。
それに対するは
不完全、種族もバラバラもいいところ、不完全の集団。
だが、可能性を秘めた者たち。
支配と自由、二つの軍勢が、ぶつかる。
――激突。
剣と剣が火花を散らし、神獣が理想を噛み砕き、ロボットが弾幕を張る。
ピンクの軽自動車が、ありえない角度でドリフトしながら砲撃をぶっ放す。
「うおおおお!!現実なめんなぁぁ!!」
完璧なはずの理想が“揺らぐ”。
老人の目が、わずかに見開かれる。
「……馬鹿な……不完全なはずの存在が……」
俺は一歩、踏み出す。
「不完全だから、変われるんだよ。」
分岐が、さらに広がる。
「間違える。迷う。ぶつかる。」
仲間たちが、前に出る。
「でもな――」
ノートが、光を放つ。
「その全部が、“次の可能性”になるんだよ!!」
――バチィィィィッ!!!!
無数の世界線が、重なり合う。
敗北した未来。勝利した未来。諦めた未来。抗い続けた未来。
その中で、老人は呟く。
「ではこちらも行こう。」
「出でよ。」
「私の答え。私の求めた現実よ。」
空間が、軋む。
四つの影が、ゆっくりと“定義”されていく。
いないはずの存在――
“灯陽の書いていない神”。
それは概念そのものが、今この瞬間に固定され、現実へと降りてくる存在だった。
「改律、選定、賛美、終極――」
老人が杖を掲げる。
「これが私の最高傑作。
曖昧さを排し、世界を完全へと導く四柱の理だ」
――ズンッ……
一柱目が、世界を書き換える。
「《改律》」
法則が“更新”される。
重力、時間、因果――すべてが再定義される。
二柱目。
「《選定》」
無数の未来が、切り捨てられる。
“敗北しない未来”だけが残り、それ以外が消滅する。
三柱目。
「《賛美》」
理想が昇華される。
神の優しさによって、戦う意欲を失わさせる。
戦う理由そのものを無くさせる。
そして――
「《終極》」
静かに、しかし確実に。
“終わり”が、定義される。
すべての存在に、終焉という一点が刻まれる。
――ドクン。
心臓が、重く鳴る。
「……これが……“答え”……」
俺は、四柱を見上げる。
「なるほどな。これはお前が書いた神か。どおりで俺が知らなかった訳だ。」
老人は頷く。
「そうだ。四機神こそ私のたどり着いた“答え”。」
その目は揺るがない。
「改律により世界を整え、
選定により無駄を排し、
賛美により正しさを固定し、
終極によりすべてを閉じる――」
杖が、ゆっくりと下ろされる。
「これが“完全な世界”だ。」
――ドォォォォォン!!!
出現したのは、仮想の街。
瓦礫が、意思を持つように繋がっていく。
崩壊したはずの建造物が再構築され、歪に組み上がる。
やがてそれは――
都市そのものが一体の兵器へと“改律”された存在へと変貌する。
鉄とコンクリートが軋み、回転し、再配置される。
「――状況理解。殲滅準備。」
キイィィィィイン――。改律神の瞳が、朱く光る。
「対象:不完全存在群」
「処理方法:最適化」
「権能:《再規律:リライト》使用。」
都市の至る所から砲門が展開される。
ガシャガシャガシャ……。
道路は砲身へ、ビルは腕へ、街灯は刃へと変わる。
“街”という概念そのものが、殺戮機構へと再定義される。
だが、その前に踏み出すのは、かつての適合者、アリア・セルヴァ。
背後には、人々。震えながらも、逃げない住民たち。
彼女は、静かに杖を掲げる。
「改律神アウレリウス。」
まっすぐに見上げる。
「あなたから貰った、この杖で――」
瓦礫が、ゆっくりと浮かび上がる。
崩れた家。壊れた壁。折れた柱。
それらが、ぎこちなく、だが確かに“繋がっていく”。
「私は、この街を“もう一度”作った。」
それは完璧ではない。
歪で、不揃いで、隙だらけの街。
だが――
人の手で繋ぎ直された街だった。
「……解析開始。」
改律神の視線が、アリアの街へ向けられる。
「構造:非効率」「配置:非合理」「耐久:低水準」
「――結論:不要」
砲門が、一斉に向く。
「ええ、そうでしょうね。」
杖を、強く握る。
「でも――」
「それでも“ここで生きる”って決めたのは、私たちよ。」
――バチィィィッ!!
神力が爆ぜる。
「これは完璧な街じゃない。」
瓦礫がさらに組み替わる。
人が立つ場所。守る場所。戻る場所。
「でもね。帰る場所には、なれるのよ。」
改律神の目が、わずかに光度を変える。
「……理解不能、非合理行動」
一拍。
「否。」
「観測誤差、発生」
――――――――――――――――――――――――
『不完全な世界など不要。選定により消去する。』
天から降るのは巨大な鎧。
空が静かに閉じる。
――――ゴゴゴゴゴゴゴゴ。
天より降りるのは巨大な鎧。
輝く神鉄は全てを拒絶するが如く強度。
それらが今、完全な姿を持って顕現する。
そして降臨するはかつてあの街の全てを消した
《選定剣:ノア》
その異様な様は巨大でありながら質量を感じない。
存在しているのに、どこか現実から外れている。
「かつての我らの主、ヴァルハイトよ。」
騎士団長アルトゥス・ヴァルグレイブは静かにそれを見上げる。
その瞳に恐れはない。
「貴方は我らに選ぶ資格を与えた。何を守るか。何を斬るか。」
「誰を救い。誰を見捨てるか。」
騎士達は背後で剣を構えている。
「だが今――」
剣を真っ直ぐに向ける。
「貴方はそれを今否定している。」
『神無き者共など不要。選定する。』
巨大な鎧、選定神ヴァルハイトが、淡々と告げる。
「……そうか。」
「なら我らは“不要とされた側”でいい。」
騎士団が一斉に答える。
「「「「応!!」」」」
「選ばれなかった側を守るための剣だ!!」
「行くぞ騎士団!!総員突撃!!」
ドドドドドドドドドドドドド!!!!
騎士達が大地を蹴る。
選ばれなかった者達が走り出す。
―――――――――――――――――――――――――
『人の子よ。なぜ争う?』
柔らかな光が、戦場を包む。
血の匂いが薄れ、痛みが遠のく。
『争うのは止めなさい。
救済の下に従うのです。』
賛美神セラフィムの声は、あまりにも優しい。
責めるでもなく、否定するでもなく――
ただ、“正しい答え”を差し出す声。
『苦しむ必要はありません。
選ぶ必要もありません。』
『ただ、神に従えばいいのです。』
「そうかもしれない……」
一人が、剣を落とす。
「もう……戦わなくていいんだ……」
次々に、武器が地面に落ちていく。
金属音が、静かに響く。
「セラフィム様は……正しい……」
誰もが、抗う理由を失っていく。
その中で、一人だけ、動かない影があった。
神兵長アゼル。
その瞳には――迷いがあった。
セラフィムの光が、優しく降り注ぐ。
『あなたも理解しているはずです。争いは、悲しみしか生まない。』
『ならば、終わらせればいい。すべてを、救済のもとに――』
アゼルの手から、剣が滑り落ちる。
――カラン。
「……確かに、あなたは正しい。」
俯いたまま、呟く。
「戦えば、誰かが傷つきます。選べば、誰かを切り捨てるしかない。」
拳を、強く握る。
「全部、間違いだらけだ。」
顔を上げる。
その瞳が、燃える。
「……でも」
「だからって、“選ぶのをやめていい理由”にはなりません。」
セラフィムの光が、わずかに揺らぐ。
『……なぜです?』
『苦しみから解放されるのですよ?』
アゼルは、笑う。苦しそうに。
「苦しむのが嫌だから、」
落とした剣を、拾い上げる。
「全部誰かに任せるのは、“生きてる”って言えません。」
剣を、構える。
「間違えてもいい。後悔してもいい。」
「それでも――」
力強く、踏み出す。
「私が決めた道を、私が進む!!」
セラフィムは微笑む。
『ならば、その選択ごと、救済しましょう。』
――――――――――――――――――――――――――――――――
『――すべては、終わる。』
音が、消える。
爆発も、咆哮も、足音も――
すべてが“遠く”なる。
闇が、静かに広がる。
『抗う必要はない。
終わりは、等しく訪れる。』
終極神ノクス。
その姿は曖昧だ。
影のようであり、夜そのものであり、ただ“終わり”という概念。
「コウドウフノウ……!」
ロボット兵の一体が、動きを止める。
関節が、固まる。
エネルギー出力、低下。
『終わりは、既に定義されている。』
ノクスの声が、静かに響く。
『動くことも、戦うことも、無意味だ。』
一体、また一体と――
ロボット兵が膝をつく。動作停止。崩れ落ちる。
「……チッ……」
その中で、
ただ一人、立っている男。
ジェネラル・ゼグマ。
『終わりは既に刻まれている。』
『貴様も、例外ではない。』
ゼグマは、顔を上げる。
その鋼鉄の顔から、
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「はっ……そりゃそうだろ。」
ガン、と胸を叩く。
「俺だって、いつかは壊れる。」
一歩、踏み出す。
足が、重い。それでも、止まらない。
「でもな――」
肩に担いだ武器を、構える。
「“終わる”って分かってるからってよ。」
引き金に指をかける。
「“今止まっていい理由”にはなんねえだろうが!!」
ゼグマは立ち向かう。
今、目の前に立ちはだかる強大な“終わり”に。
―――――――――――――――――――――
立ち向かう不完全の軍勢達。しかし、創造神の完成された理想、“四機神“の前にその差は歴然。
「一個中隊!!消滅!!」
あれだけ威勢を挙げていたアルトゥスの騎士団はちりぢりになり、鎧はボロボロ、
兵達の表情は苦悶と恐怖に歪んでいる。
「ぐっ……耐えろ!!勝機はまだある!!」
アルトゥスはなおも隊を鼓舞し続ける。場違いなほどに。
「くっ……動け……!身体!!」ゼグマが歯を食いしばる。指が引き金に数ミリ届かない。鋼鉄の身体が軋み、さび付いたように動かない。
ロボット兵達は終極神ノクスの権能《終止》を前に殆どが動きを停止してしまった。
「やはり、神に抗うなど、無理な話、か……。」アゼルは膝をつく。
神の威光を前に身体が動かない。
まるで暖かい。抗わなくても良い。身体が動きたくても動かない。
意識が朦朧としている。むしろここで終わるのも良い。そんな感覚が染みこんできた。
「強ええ……。このままじゃじり貧だ!!」カイルの声が焦りを帯びる。
ヴェルオリオンの街は崩壊寸前だ。
ピンクの自動車は潰され、数十門あった大砲も今はその力を失い始めている。
改律神は神の力でたちどころに受けた傷を修復してしまう。
「灯陽……。このままじゃ……。」アリアの声が震える。
不完全の軍勢が押し潰される。
「そら見たことか。未原灯陽。お前は誰一人救うことが出来ない。」
「理想の前にはだれもがひれ伏す。」
四柱が並び立つ。
逃げ場はなく、可能性もない。
抗う術はない。
「これが、現実だ。」
その時、
灯陽が少しだけ、笑った。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
ジェネラルゼグマが好きすぎる。出てくるたびに毎回泣けるんですよね。
健気だからかなあ。
面白いと思っていただけたら
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