第十六話 遺跡の先へ 闇の戦士ゼグマ
第十六話を投稿します。よろしくお願いします!!
「よくぞ試練を乗り越えた。」
洞窟の奥から、低く柔らかな声が響く。周囲の結晶が微かに振動し、光の波紋が広がった。
「これほどの力を見せるとは……灯陽、アリア、リナ、レイ。皆、あなた方の心と力を試させてもらった」
光が集まる一点から、祈り子のような存在が姿を現す。白銀の衣に包まれ、頭上には淡い光輪が浮かんでいる。顔は見えないが、その存在感だけで周囲の空気が変わる。
「これは……誰……?」アリアが小さな声で呟く。
「私は、ゼルディオンの一部を宿す者。この洞窟の結晶と同化し、ゼルディオンへの手掛かりを守っていた」
リナは目を見開き、結晶の光と声の調和を読み取る。
「神……ゼルディオンの意志の一端……?」
祈り子はゆっくりと手を差し伸べる。その手の先には、古びた地図のような光の図形が浮かんでいた。
「この地下通路の奥に、裏の世界への入口がある。そこにて、ゼルディオンの意図の一部を理解することができる」
灯陽は拳を握る。『裏の世界』。
それは最初にレイに貰った黒歴史ノート、『終焉黙示録』の端の記述にあった。
「裏の世界……か。ここからが本当の冒険になるな」
レイは肩をすくめ、無言で剣を握り直す。
「……これで、退屈せずに済みそうだ」
アリアは杖を軽く掲げ、光の流れを確認する。
「この先はもっと不安定になるかもしれない……でも、行く価値はあるわ」
俺たちは光の中を突き進む。
そしてたどり着いたのは島、のような場所。
霧が立ちこめていて、外側には水辺が果てしなく広がっている。
「これはまさか……巨大湖!?」驚くリナ。
「分かるのか?」
「ええ、一説には終極神ノクスはそこに住まうと伝えられています。しかし、ノクスは神の中でも、最も謎の多い神でして……、俗に言う裏の世界と関連があるのでしょうか……。」
その時、水辺から巨大な機械の影が浮かび上がった。
「侵入者!!侵入者!!アウェイクド!!排除せよ!!」
湖面に反響するように、サイレンが鳴り響く。霧に包まれた島の上空から、飛行する機械が現れ、光線を放ってくる。
アリアは杖を振り、光の結晶で防壁を作る。
「余白で制御するわ!」光の結界が機械の攻撃を吸収し、反射する。
レイは剣を構え、闇の破壊力を集中させて機械の装甲を削る。
「さあ、かかってこい!」
俺とリナは紋章を光らせ魔法で援護する。
「ぐっ……!!敵は四人!!何を手こずっているアウェイクド……、はっ、お前……」
敵の将たる男が現れて、何かに気づく。
「お前、灯陽か……?」
――――――――――――――――
「……お前達。武装解除だ。」
アウェイクドと名付けられた兵達の光が止まる、
よく見るとそれらはドローン、人体模型、恐竜の人形など、おおよそ生き物とは言えない者立ちばかりだった。
「動く物体……?」
「灯陽!!良く来たな!!俺を覚えているか!?」
強面な面影と裏腹に凄く嬉しそうな声を出すロボット。
……?こんなロボットに知り合いはいたか?
灯陽は目を細め、眉をひそめた。
「……お前は……?」
灯陽の声が、霧の湖に吸い込まれるように消えた瞬間、ロボットは両腕を大きく広げ、胸を張って高らかに笑った。
「覚えていないのか?俺だ、昔お前がおもちゃ屋で手に入れた――ゼグマだ!!」
ゼグマ……!?ジェネラルロボゼグマ!?小学生の頃、毎日手に取り、夢中で戦わせたあのロボットだ。灯陽の記憶の奥底で、封印されていた無邪気な日々が、鮮やかに蘇る。
リビングの一室。窓から差し込む日の光。ハッピーバースデーの歌。
「ほら、開けてみろ!」
「あ、これ……欲しかったやつだ!!」
灯陽の手元でゼグマが飛び跳ね、光を放つ。
「ぶーん、ぶーん!!ゼグマ、突撃――!!」
小さなボディは、まるで生きているかのように光り輝き、力強く振動する。
そして今――オブリヴィオンの中心で、ゼグマの全身が虹色に光り、まるで小さな星が湖面を飛び回るかのようだ。
「これで……俺は忘れ去られずに済んだんだ!!ほら見ろ!!身体中に力がみなぎっている!!」
灯陽は思わず手を止め、息を呑む。
「こんな場所で、俺の帰りを……ずっと待っていたのか……?」
忘れちまった俺への恨みは?いかん、涙が出てきた。
忘却の国オブリヴィオン。無限の霧と水に包まれた異界。
だがその中で、ゼグマの光は希望の灯火のように輝き、灯陽の胸を熱くした。
かつてのおもちゃは、今や戦力として、そして信頼できる盟友として、静かに、しかし確実にその存在を示していた。
―――――――――――――――――――――――――――
「なんと、灯陽様の知りあいだったのですか……。」驚くリナ
「変わった友達ね……」アリアは困惑している。
「そうだ!!俺が真の灯陽の英雄 ジェネラルゼグマだ!!」
「なんだと?それは俺だ!!灯陽の英雄レイ=アルカディアだ!!」
張り合う二人。やめてくれ。俺の記憶同士で喧嘩しないでくれ。
二人は
「――しかし、そうか。裏の世界に異世界……相分かった。手を貸そう。」
「夜更けに影の塔 “アビス” が現れる。その最上階に夜の支配者がいると言い伝えられている。確かにあそこは裏と言う場所に近いかもな。」
「危険なので、街の皆は近づかないが、そこへ行くのだろう?」
セラフィムの国とは真逆だ。ノクスを恐れ近寄らない。どの神とも違う。
「ああ。」
灯陽は意気揚々と応えた。
「よし、私も行こう。」
影の塔は夜更けに塔が現れると言われている。
今はまだ明るい。昼頃と言ったところか。
せっかくだから街に寄っていけ。と言われ、観光をすることにした。
浜辺から少し歩くと、街の門が見えてくる。
『ようこそ、オブリヴィオンへ!』
と書かれた古ぼけた看板、そこを通ると、意外な風景が広がっていた。
「安いよ安いよ!!」「わーい!!」
「おいらで安眠してみるかい!?一泊1500マニーだよ!!」
遺跡を抜けた先、そこは島で、商店街だった。
「へぇ、結構街はしっかりしているのね。」
路地には、古めかしい木の看板や小さな路地市場があり、見た目はどこか現実世界の昭和の町並みを思わせる。
リナはにこりと笑った。
「古い街には、歴史の積み重ねがあるのね。こういうところも、神の力や試練とは違う形で人を守ってきたのでしょう」
しかし、空中には浮かぶ街灯や、動く石像の装飾、光る噴水など、異世界的な奇抜さが散りばめられている。
「おやおや、いらっしゃいませー!」
小さな店の前で、笑顔のロボット店員が商品を並べている。灯陽にはどこか懐かしい光景だ。
「見て!あの石像、勝手に会話してる!」
アリアが指差すと、近くの噴水が「水分足りてるか?」と声をかけてきた。
ボール型の住民が路地で遊んでいる。あれは子供、なのか?
「なんだか……懐かしい気分だ。」
その言葉に、ゼグマがにっこり笑った。
「フフ、灯陽が安心して歩ける街……か。私も嬉しいぞ」
昼下がりの異世界の街。灯陽の足元には光の結晶がほのかに輝き、空には浮遊する街灯がゆらめいている。
彼らは、夜の影の塔に向かう前のひととき、少しだけ異世界の街を楽しむのだった。
―――――――――――――――――――――
そして夜更け。月の光と影が重なり、影で出来た小さな扉が現れる。
「では行くぞ。」
ゼグマが扉を開く。
いざ、影の塔へ。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
面白いと思っていただけたら
ブックマークや評価、感想などいただけると励みになります!




