第十四話 セラフィム戦終結 そして――
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光は、ゆっくりとほどけていった。
あれほど世界を満たしていた輝きは、静かに収束し、やがて大結晶の奥へと沈んでいく。
セラフィムの気配は、もうどこにもなかった。
だが――完全に消えたわけではない。
どこか遠くで、ただ“見守っている”ような、そんな微かな余韻だけが残っていた。
やがて、
「……あれ……?」
「ここは……」
倒れていた住民たちが、ゆっくりと体を起こしていく。
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その帰り。
レイは露骨に不満そうに鼻を鳴らした。
「……つまらん。」
腕を組み、周囲を一瞥する。
「戦いはどこだ!!」
灯陽はため息をつく。
「お前なぁ……」
レイは一瞬だけ黙り込む。
「……敵である以上、斬るべきだった」
ぶっきらぼうに言い放つが、その声にはどこか迷いが混じっていた。
灯陽は小さく笑う。
「全部が全部、斬ればいいってもんでもねぇだろ」
「本当に良い国でした。アゼルさんに、今度は個人的に旅行に行きますと伝えました。」
リナが穏やかに微笑む。
「名残惜しい別れです」
「少しでも見れて良かった~。今度は本当に観光で来たいね」
アリアはくるりと振り返り、嬉しそうに笑う。
「街のみんなで!!」
その手には、しっかりと土産袋が握られていた。
神の加護は消えた。
それでも、あの街は崩れなかった。
神獣も、天使のような人々も、
今はそれぞれの意志で生きている。
セラフィムが遺した力が、土台として残っているからだ。
「……悪くねぇ終わり方だな」
灯陽はぽつりと呟いた。
やがて、見慣れた自分たちの街が視界に入る。
「街が見えてきましたね」
リナの声に、全員の視線が前を向いた。
石竜がゆっくりと高度を落としていく。
そして――
地面に足が触れた、その瞬間だった。
「灯陽様だ!!」
爆発するような歓声。次の瞬間、四方から人が押し寄せてくる。
「本当に帰ってきた!!」
「見ろよ!灯陽様だ!!」
「噂は本当だったんだ!!」
あまりにも異様な熱量。思わず、灯陽は一歩引いた。
「……おいおい」
周囲を見渡す。目に入るのは、興奮した顔、顔、顔。
そのどれもが――
どこか“見覚えのある熱”を帯びていた。
「……歓迎にしては、やりすぎじゃねぇか?」
ぽつりと呟く。
リナの表情が、わずかに引き締まる。
「ええ……これは……」
アリアも、少しだけ不安そうに灯陽を見る。
「……ねえ、灯陽」
「これって……」
言葉の続きを、誰も口にしなかった。
だが――
全員、同じことを感じていた。さっきまで見ていた“あの光景”に、似ている。
人々の中の一人が、前へと出てくる。
震える声で、こう言った。
「……あなたは……」
「神、なんですよね……?」
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「つまり、皆同じ夢を見たと、」
リナが静かに言った。
ざわめいていた群衆が、その一言でわずかに落ち着く。
「夢……?」
誰かが戸惑うように呟く。
「ええ。完全な記憶ではない。けれど――断片的に共有された視界」
リナは周囲を見渡した。
「四つの大いなる力」
「その均衡」
「そして……それを超える“何か”」
その言葉に、人々の視線が一斉に灯陽へと向く。
灯陽は顔をしかめる、
「おい、やめろよ。勝手に話をでかくすんな。」
確かに、創造神のことは俺も関わっているかも知れない。しかし、ここでそれを言うのは何か良くない気がした。
だが。誰一人として、目を逸らさない。
「……見たんです」
最前列にいた男が、震える声で言う。
「光の中で……あなたを」「神じゃない……でも……」
言葉に詰まる。
「……あの場所に、立っていた」
沈黙が落ちる。
レイが、横目で灯陽を見る。
「……ほう」
興味深そうに、わずかに口元を歪めた。
灯陽は深くため息をついた。
「だから違ぇって言ってんだろ」
頭をかきながら、吐き捨てるように言う。
「俺はただの人間だ」
その言葉に――
今度は、別のざわめきが広がった。信じたい者と、疑う者。納得しきれない者。
それぞれの感情が、ゆっくりと分かれていく。
街のざわめきはまだ収まらない。
人々は神の一部を垣間見た余韻を胸に抱きつつ、それぞれの生活へと戻っていく。
しかし、灯陽の心には、ひとつの疑問が残った。
「……そもそも、セラフィムは何のためにあれだけの力を振るったんだ?」
リナは目を細め、考え込む。
「四機神と創造神……。私は四機神には精通していますが、創造神ゼルディオンについてはほとんど知識がありません。記録も断片的で……」
アリアも、手に持ったお土産袋をぎゅっと握りしめながら呟く。
「結局、世界を作った神……ゼルディオンって、一体何者なの?」
灯陽は空を見上げる。
「……俺たち、人類がこれまで見てきた神より上の存在と、知らず知らず関わってるってことか。放ってはおけねぇ。あいつ――ゼルディオンの正体を知れば、街も、世界も、もっと救えるかもしれん」
リナは静かに頷く。
「ゼルディオンの意図を読み解くには、セラフィムの行動、四機神の存在、そして“余白の力”――全てを照らし合わせる必要があります。」
アリアは手に持ったお土産袋をぎゅっと握りしめ、ふと顔を上げた。
「……でも、灯陽、あの光の中で見えた断片……何か、まだ隠れている気がする」
その瞬間、足元の結晶がひとつ、ポン、と跳ねた。
アリアが慌てて手を伸ばすと、結晶は光を放ち、街中に小さな光の軌跡を描きながらゆっくりと動き始める。
「な、なにこれ!」灯陽は思わず後ずさり。
「……街の結晶が、自分で動いてる……?」
「落ち着いて、これは……」リナが手をかざすと、結晶は彼女の魔力に反応して静止した。
「……これは、ただの魔力の結晶ではない。何かの痕跡を示しているようね」
「この方角は間違いない。旧大聖堂跡地の方を差しているわ。」
灯陽は気づいた。
旧大聖堂。改律神との最終決戦の舞台になった場所。
唯一、改律神の権能《再構律》の影響を受けなかった場所。
確かに不可解な点がある。そこには神に関する何かしらの情報があるのかも知れない。
「行ってみよう。なにかがあるかもしれない。」
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バンと聖堂の門が開く。今は廃墟になっている寂れた聖堂だ。
こんなところに結晶の光は差している。一体何があるのだろうか。
リナは静かに前に進みながら言った。
「結晶の光が導く場所には、きっとゼルディオンの痕跡が残されているはず。注意して進みましょう」
光を追い続けると、途中でそれは止まってしまった。
「行き止まりのようですね。」
俺の足下からカチッと言う音がした。
ゴゴゴゴゴゴという音がして現れたのは、巨大な階段。
「おかしい。こんな場所、前にはなかったはずなのに。」
「これも創造神の意思なのでしょうか……。」
俺たちは階段を降りる。やがてたどり着いたのは巨大な広間。
その時、
「ここを訪れしものよ」
何もないところから声が聞こえた。
「試練を与える」
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