第十一話 ルミナスへの招待ーー賛美神セラフィム
第十一話を投稿します。よろしくお願いします!!
ヴァルハイトとの戦いが終わってから、数日が経った。
街はまだ戦の爪痕を遺しながらも、確実に息を吹き返していた。
石工たちが崩れた壁の修理をしている。
市場では露店が並び、焼きたてのパンの匂いが漂う。
「……戦いのあととは思えねえな。」
俺はぽつりと呟く。
隣では、珍しくアリアが屋台の串焼きを食べていた。
「今日は休みだからぱーっと食べちゃおう!!」
最近のアリアは、ほとんど役人みたいな生活だ。
街の紋章回路、インフラ、水路、城壁――
気づけば町娘からインフラ大臣と化していた。
「毎日働きすぎなんだよ。」
「灯陽が仕事増やすから。」
「俺のせいか?」
アリアは串をかじりながら、じっとこちらを見る。
「だいたいそう。」
「ひどいな。」
そんな他愛ない会話の最中だった。
「そういえば、騎士団ってどうなったの?」
「あー――」
ヴァルハイトの武装国家 アンダルキアにて
巨大な石造りの広間。白い騎士たちが集まり、怒号が飛び交っている。
「神が消えた今、我らはどうなる!!」
「周辺国家が動き出している!!」
「反乱もおきている!!」
ガンッ!!
剣が床に突き立てられる。
場を収めたのは――騎士団長アルトゥス。
「神なき今!!」
「我が国はかつて無い混乱に突入した。周辺国家は牙をむき、反乱の火が上がっている。」
「だが、それがどうした!!」
「神がいようがいまいが我らにはこの剣がある。」
「国を立て直す!!」
その頃、遠く離れた街で、
「ふーん、あいつらも大変なのね。」
アリアは話そっちのけで串焼きに夢中だ。
「まだ食ってるし……」
アンダルキアの混乱とは対照的に、俺たちの街はさらに活気づいていた。
城門の前には長い列ができている。
「移民希望者はこちらに並んでくださーい!!」
リナが机の上で書類をさばきながら叫んでいる。
門の前ではガルドが腕を組んで唸っていた。
「どうしたガルド。」
「街の紋章回路を増設してるんだがな、人が増えすぎて処理が追いつかん。」
「ホント人増えたよな……」
「噂広がってるからなぁ!!神をぶっ倒した国!!がっはっは!!」
豪快に笑うガルド。
灯陽は苦笑する。
「まあ、神には皆、不満があったんだろうな。」
「……極端なのよ。あいつら。なんでも締めれば良いってもんじゃないわ。」
アリアが愚痴る。
「でも、ここまで来たのは不満だけじゃないと思うよ。」
「私と、灯陽。そして皆で大きくした国。」
「私達の国。そうでしょ?」
アリアはそう言って、少しだけ笑った。
その時だった。
「平和ですね。」
知らない声がした。
俺とアリアは振り向く。そこにいたのは、一人の男。
白い装束、穏やかな笑み。中性的な美しい顔立ち。
そして、
背中には折りたたまれた翼。
「おい。……いつからそこにいた。」
「少し前からです。」
「――この国は素晴らしい。人が笑い、働き、助け合っている。」
男がゆっくり俺を見る。
「神を倒した国とは思えない。」
空気が一気に張り詰める。
その瞬間。
金属の音がした。男の首元には黒い刃。
黒い外套。黒い剣。
漆黒の英雄、レイ=アルカディア。
「動くな。首が落ちるぞ。」
剣呑な空気。
「なるほど、貴方が灯陽様の心の英雄。」
しかし男は動じず、柔らかな笑みを浮かべるのみ。
「……用件を言え。」
その時だった。
ドサッ。と言う音。
市場の端で誰かが倒れた。
「おい!」「大丈夫か!!」ざわめきが広がる。
倒れたのは痩せ細った移民の子供だった。
その時、セラフィムがゆっくり歩きだした。
「貴様……」「待て、何かする。警戒しろ。」
謎の男は子供の前で膝をつく。
「人は弱い。」
静かな声。翼がふわりと広がる。
「だからこそ、」
子供の額に手を触れた。
次の瞬間、柔らかな光があふれた。
「……あれ?痛くない。」
子供の呼吸が戻っていく。
「治った!?」「奇跡だ……。」
周囲がざわめく。
男は静かに立った。まるでたいしたことではないかのように。
「人を救う力。それが我らの国、ルミナスです。」
「おっと、申し遅れました。」
「四機神が一柱――」
「賛美神セラフィムと申します。」
「灯陽様。」
「もしよろしければ、我が国を視察なさいませんか?」
読んでいただきありがとうございます!!
面白いと思っていただけたら
ブックマークや評価、感想などいただけると励みになります!
では次回もお会いしましょう!!




