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不滅のリーパーキング~何度でも蘇る俺は、さらわれた幼馴染を救い出す~  作者: 柳原ミツキ
第一章

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目覚めは檻の中で

「...ーい。おーい。聞こえますかー?...おかしい、とっくに傷は治ってるはずなんだけど。もしかして、見えない箇所に問題が...?」

…うるさいな。今何時だと思ってんだ。あと少しでいいから寝かしてくれ。


「お、おーい、あのー。たぶん体のほうは完治してるし、起きれる...よね?―――仕方ない、あれを使おう。」

なんだ?何をするってんだ。俺は起きんぞ。もう少しだけ、あともう少しだけ寝かせ...


「ふぅー」

「うひゃん!?」

生暖かい風が耳の奥を刺激し、起床を余儀なくされてしまう。


「あ、やっぱり起きてる!おはよ~。体のほうは、大丈夫?」

隣から、まるで風鈴のような透き通った声が聞こえてくる。


「おはよー、じゃねぇよ!急に何してくれてんだ!?心臓止まるかと思ったわ!」

突然『耳ふー』され、心臓がバクバクと鼓動を鳴らしている。


「ご、ごめんなさい!でも、あなた全然起きてくれないし...。それに、もうすぐ朝の会が始まるから起こして来いって、博士が...」

そういって申し訳なさそうに弁明してきた。


なるほど。朝の会があるからわざわざ起こしに来てくれたらしい。なんだ、とってもいい子じゃないか。

「...急に怒鳴って悪かったな。起こしに来てくれてありがとう。危うく朝の会に遅れるところだった...って、ん?」

違和感。俺、今なんて言った?


「ちょっと待ってくれ。朝の会?てか、ここはどこだ?あんたは...何者?」

なにがどうなってる?寝起きで頭がおかしくなったのか?いや、落ち着け。まずは記憶の確認。


俺の名前、ダイン。大陸南東にある田舎町、オッカム出身。光の当たる角度によって若干茶色にみえる黒髪と、たまに二重になる黒目がチャームポイント。ダインって背『だけ』は高いよねと言わしめる身長、179cm。絶妙に180いかないのがなんとも俺らしい。...うん、記憶に問題はなさそうだ。


次はなぜここにいるのか、だ。

確か俺は、レナといつもの小屋で遊んでて、それで...。そうだ。変な二人組に襲われたんだ。それで、レナは攫われて、俺はボコボコにされたあと...。


「ここに連れてこられたってことか。」

周りを見渡したところ、ここは六畳ほどの部屋の様だ。ベッドのほかには机、タンスなど必要最低限のものだけが置かれている。


しかし妙だ。俺の体、あれだけボコボコにされたっていうのに、見たところ傷がない。それどころか、子供の頃やかんをぶつけてできた、手の火傷痕すらなくなっている。


「混乱するのはわかるけど、いっぺんにたくさん質問されたら困るよ~。」

と、隣の女の子は何から話そうかとオロオロしていた。


「そうだな...じゃあ、まずは君の名前を教えてくれ。」

とりあえずは、自己紹介だ。


「わ、わかった!...コホン。私の名前はノーニャ。ノーニャ・ローランド。よろしくね!」

そういってノーニャと名乗る少女は、俺に屈託のない笑顔を向けたのだった。


ノーニャの第一印象は、おとなしそうな子、であった。淡い桃色の髪を肩まで伸ばし、目に掛からないぐらいの前髪を、右目の上で分けている。白を基調とし、赤いラインが入った半袖シャツに、赤のハーフパンツを着ていて...


「って体操服じゃねぇか!」

「うわっ!びっくりしたぁ。...これから学校なんだし、普通だよ?」


地元の学校じゃ体操服などなく、縁もゆかりもなかったが、本で知識としては知っていた。

体操服。これといってオシャレというわけではないが、こう、クるものがあるのはなぜだろう。

ノーニャの大きく実った双丘は綿の生地を押し上げ、存在を強く主張している。彼女の美貌に見とれ、しばらくの間彼女の曲線美に浸っていると、視界が急に暗くなった。


「み、見すぎ...恥ずかしいよ...。」

ノーニャが俺の目を片手で覆ってきていたらしい。頬を赤く染めた彼女はもう片方の手で胸を隠し、恨めし気にこちらを見ていた。恥ずかしがる彼女はとても煽情的で、女の子に免疫のない男子ならイチコロだったであろう。...まぁ俺には通用しないがな!


・・・


「....じゃ、じゃあ次は俺の番だな。俺はダイン。よろしく!」

「何事もなかったかのように自己紹介を進めないで!?私の胸が大きいのは認めるけど、ここまでガン見されたのは初めてだよ!......もう。ほかの女の子には、こんなことしちゃいけないんだからね?」

おっと。私はいいけどね、みたいな意味に聞こえるんですがそれは。


頬を赤らめながら怒る彼女はちっとも怖くなく、ただただ可愛さがあふれるばかりだった。

「...ってあれ?ダイン、顔が赤くなってるよ?」

俺の顔をじっと見つめ、ニヤニヤした顔でノーニャが近づいてくる。


「そ、そんなことないが!?」

なんとかごまかし、顔をそらす。

まずい、ベテラン男子の俺でもさすがに動揺が顔に出ているようだ。


「え~そうかなぁ。...さっきまで堂々とセクハラしてきたのに、なんだか緊張しちゃってない?」

そういって頬を赤らめた顔が迫ってくる。彼女の息遣いが聞こえるほどに接近してきて...

って、近い近い近い近い!この子、奥手な感じしといて実は結構男慣れしてるのか!?


「ねぇ、私の目、見て?」

彼女の艶やかな声に誘われるがままに、彼女の目を見る。互いの視線が交差し、絡み合い、溶け堕ちる。......助けてレナ!このままだと俺、この子のことすきになっちまう!


初対面のはずなのだが、なぜかノーニャからの好感度は高いように思える。今の状況を忘れ、この甘い空間を心の中でもぐもぐと咀嚼し、じっくり味わい、ゆっくり飲み込んでいると予鈴の音で現実へ引き戻された。


「キンコンカンコーン。生徒の皆さん、朝の会が始まりますので、教室へお集まりくださーい。」

…ちっ。


「ダイン!やばいよ!朝の会が始まっちゃう!」

そう言って近づけていた顔を離し、やけに焦った様子で俺の手を引っ張り、部屋を出ようとするノーニャ。


そんな彼女を前に俺は一言、

「...もうちょっとおしゃべりしていかない?ほら、好きな食べ物とか」

「バカなこといってないで早く行くよ!?遅れたら私まで怒られちゃう!」


そういって華奢な体に見合わぬ腕力でベッドから俺をひっぱり起こし、部屋の外へ連れ出すノーニャ。そういえば、朝の会について聞き忘れたな。......まぁ、名前からして大丈夫だろ。

―――これから地獄を見ることになるとも知らない俺は、余裕綽々の表情で教室へと導かれるのだった。





同刻、エレノアとザガンに連れ去られたレナは、ある豪華な部屋で茶菓子と紅茶をたしなんでいた。


「ここの茶菓子と紅茶は絶品ね!今まで食べたことないぐらい!...ダインにも食べさせてあげたいわ!」

まるで王室を思わせるような部屋には、豪華なテーブル、天蓋付きベッド、だれかしらを模した高そうな絵画、グランドピアノ、様々な書物が置かれた本棚などが置かれている。

テーブルの上に置かれたマカロンをむさぼりながら、レナはこれまでのことを思い出していた。



数日前

二人の男が襲撃してきて、意識を失った。目が覚めると豪華なベッドに寝かされており、横にはあの時いた髭を生やした貴族風の男、エレノアが椅子に座りながら本を読んでいた。


「...。ようやく目が覚めたか、小娘。気分はどうだ?」

「なかなか悪くないわ。...あんたがいなければもっと良かったけどね!」

そういってベッドから飛び起き、臨戦態勢をとる。しかしエレノアはレナに目もくれず、本を読み続けていた。


「やめておけ。私には敵わんとわかっておろう?...それに、お前は王にとって特別な存在なのだ。万が一があっては困る。」

そういってエレノアは本を閉じて立ち上がり、レナに向かってゆっくりと歩く。


……隙がない。戦闘経験は皆無だが、なぜかこの言葉がしっくりとくる。どう仕掛けようとも、この男を倒せるビジョンが浮かばないのだ。

嫌な汗が額を伝い、頬、そしてカーペットへと落ちていく。

彼の放つ異様な強者感は、技を放つまでもなくレナの闘争心をへし折った。


「ともに来てもらうぞ。―――王がお待ちだ。」

そういうとレナの横を通り過ぎ扉を開け、こちらを睨みつけてきた。


「...しょ、しょうがいないわね。別にあんたにビビったわけじゃないけど、おとなしくついていってあげるわ!」

たしかに、今はおとなしくしていたほうがよさそうだ。舐められぬよう最低限の捨て台詞を吐き、エレノアの後を歩く。


―――緊張で時間間隔がマヒしている気がするが、大体十分くらい歩いたと思う。いつの間にか大きな扉が、自分たちを出迎えていた。

「わかっているな?...くれぐれも無礼な態度をとるでないぞ?」

そういってレナに忠告するエレノアに、黙ってうなずく。今は従順なふりに徹するのだ。


扉が重々しく開くと、そこには大きな空間が広がっていた。

暗い部屋の中で、円状のテーブルの上に吊るされたシャンデリアの光だけが辺りを照らし、人影らしきものが揺らめいている。一番奥には王と思しき冠をかぶった男が鎮座しており、異様な威圧感を放っていた。


「連れてまいりました。陛下」

そういって片膝をつき、深々と頭を下げるエレノア。

「連れてこられました。陛下」

とりあえず見様見真似でエレノアを再現し、所作を真似してみる。


貴様...!!と隣から異様な殺気が漏れる中、

「よい、エレノア。...彼女が、例の巫女か?」

王がエレノアを宥め、静かに問うた。


「...左様でございます。陛下。彼女こそが、『神』への唯一の対抗手段、龍の巫女にございます。」


今、なんといったのだろうか。巫女?私が巫女?やっぱり私って、昔から思ってたのだけど、どこかみんなと違うというか?あふれ出るオーラが違うなと思っていたのだが、やっぱりそうらしい。


「...陛下。私は巫女。そう、だれもが崇め恐れる龍の巫女にございます。そこで聞きたいのですが...具体的に私は何がすごいん...むぎゅっ」

「貴様に口を開く権利はない!!いいから黙っていろ!!」

エレノアに強引に口を閉ざされ、言葉を発せなくなってしまった。


「エレノア...良いと言っているだろう。彼女はこの国、二ブルヘイムの希望なのだ。丁重に客人として扱え。......そしてレナ。お主にやってもらいたいことは山ほどあるが...」


そういって一拍置いた後、ニブルヘイムの王は重々しい空気の中、

「神殺しの神器を、つくってもらう。」

そう言って、何やら物騒なお願いをしてきたのであった。


その後部屋に戻され、時が来るまで待っていろと言われるがまま、数日が過ぎようとしていた。

この部屋の生活は、正直言ってかなり快適だ。毎日三食おやつ付きで、要望があれば呼び鈴を鳴らし、執事を呼ぶことができる。壁に取り付けられたベルを鳴らすと...


「なんでしょうか、巫女殿。」

「今日のおやつはマカロンと紅茶がいいわ。あ、ミルクと砂糖も忘れずにね!」

「仰せのままに。」


こうしてノータイムで執事が現れ、要望を聞いてくれる。そして部屋を出た三分後には、所望の品を持って入ってきてくれるのだ。実に優秀な執事である。まるで気分は貴族のボンボンだ。


そして時は現在。執事の持ってきてくれた茶菓子と紅茶に舌鼓をうっていた。

「はぁ...。連れてこられたはいいけど、すごく快適で逆に困るわ。文句の一つも言えやしないじゃない。」

そういって深くため息をつく。


今頃ダインは何をしているのだろうか。男が言うには、実験場とやらに連れていかれたらしいが...。


「まぁダインなら大丈夫でしょ!『適合者』...だっけ?それになれば生き残れるって髭のおじさんが言ってたし....。」

ダインのことだ。一か月もすればひょっこり助けに来てくれるだろう。


「ゆっくりでいいからね!あんまり早いと、ここのお菓子満足いくまで食べられないからー!」

ダインがノーニャに心揺さぶられる中、レナはお菓子に心を奪われているのであった。



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