【第8話】 『保健室の先生、クセが強すぎて保健室が保健していない。』 ――ケガより先生の存在のほうが危険だった。
『保健室の先生、クセが強すぎて保健室が保健していない。』
アヤメ高校の朝。
ワンは欠伸をしながら教室に向かっていた。
ワン
「昨日の避難訓練……疲れた……」
リム
「ワンくん、顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」
ワン
「寝不足……あとゼロのせい……」
ゼロ
「えっ!?私なんかした!?昨日の爆発たちのこと?」
ワン
「“たち”って複数形で言うな!!」
そんな会話をしつつ、3人は教室の前へ。
そこへ――。
ガタッ!!!!
ワン
「!? な、なんだ今の音!」
教室の扉が開き、
青ざめたクラスメイトが出てきた。
クラスメイト
「せ、先生が……!保健室の先生が……!!」
ワン
「保健室の先生?今日から赴任する人だろ?」
クラスメイト
「すぐ、保健室見に行ったほうが……いや、行かないほうが……いや……どっちでも地獄で……」
ワン
「説明が破綻してる!!」
ゼロ
「行ってみよ〜!!」
ワン
「危機に飛び込むな!!」
◆保健室:すでに“安全ではない空気”
三人は保健室へ向かった。
保健室のドアの前に、
やたらキラキラ光る紙が貼ってあった。
『本日より
白金メディカ が担当しま〜す♡
いつでも遊びに来てねっ♪』
ワン
「遊びに来てって書いてる時点で嫌な予感が……」
ゼロ
「明るい先生じゃん!」
リム
「……逆に不安が増しました……」
恐る恐るドアを開ける。
ガラッ。
中は――病院というより美容室のようにキラキラしていた。
そして中央には、
白衣を着た派手な女性が立っていた。
白金メディカ
「は〜い♡ ようこそぉ〜保健室へぇ♡」
ワン
「……クセが……強い……!」
メディカ
「あらぁ〜あなたたち、新しい子たちね?
診察しちゃおっかな〜?」
リム
「ぜ、全然ケガしてません……!」
メディカ
「大丈夫♡ 私、“健康でも診るタイプ”だから♡」
ワン
「どんなタイプだよ!!」
◆ワン、なぜか診察される
メディカ
「あなた、顔色悪いわね〜?
“睡眠不足感センサー”が反応してる♡」
ワン
「そんなセンサーいらない!!」
ゼロ
「ワンくん、診てもらいなよ!
優しそうな先生だよ?」
ワン
(いや……絶対優しさの方向がおかしい……)
しかし抵抗を許されず、ベッドに座らされる。
メディカ
「じゃ、まずは体温測りましょ〜♡
この“最新式のハイテク体温計”で♡」
ワン
「絶対普通のじゃないだろ……」
メディカが取り出した体温計は、
蛍光色で、先端がパチパチ光っていた。
ワン
「これ、測るたびに何かのゲージが溜まりそうなんだけど!?」
ゼロ
「すご〜い!強そう!!」
リム
(強い体温計って何……?)
メディカ
「じゃ、ワンくん、口あけて〜♡」
ワン
「嫌だ!!!」
が、強引に突っ込まれた。
ピピピッ……
体温計
『測定完了……発射します♡』
ワン&ゼロ&リム
「えっ!?発射!?!?」
ぽふっ。
……小さな閃光がワンの頭上で弾けた。
ワン
「びっくりしたぁぁぁぁ!!
なんで体温測ってフラッシュが出るんだよ!!」
メディカ
「写真みたいで可愛いでしょ♡」
可愛くない。
◆ゼロ、診察されるともっとカオスになる
メディカ
「じゃ、次はゼロちゃん♡」
ゼロ
「はーい!」
ワン
「いや、ゼロは診なくていいって!!」
メディカ
「健康でも診るタイプだから♡」
リム
(またそのタイプ……)
ゼロは医療器具を見てワクワクしていた。
ゼロ
「この注射器、光るの!?すごーい!!」
メディカ
「そうなの♡ 中の薬が“自動発光”するの♡
ほらほら〜、ちょっと打ってみよっか♡」
ワン
「やめろおおおお!!!!!」
ゼロ
「あ、でも私今日まだ爆発してないし、
ちょうどいいかも!」
ワン
「“ちょうどいい”じゃない!!!
注射で爆発すんな!!」
メディカ
「じゃ、ちょーっとだけ……」
ピコッ。
注射器の光が急に強くなる。
ワン
「なんか危険な光だぞ!!?」
メディカ
「……あら?この薬……
ゼロちゃんの体質に反応して活性化してるわ♡」
リム
「活性化ってどういう……」
ぼんっ!!!
軽い爆発が起き、白煙が室内を包んだ。
ゼロ
「わ〜!なんか元気になった気がする〜!」
ワン
「違う意味で元気だよ!!」
メディカ
「あらあら〜♡ 可愛いわねぇ〜ゼロちゃん♡」
◆保健室、大混乱
メディカの“独特の医療”が続き、
保健室は次々に異音を立て始めた。
・自動脈拍計 → なぜか音楽を流す
・体重計 → 乗ると褒めてくれる
・聴診器 → 心音ではなく環境音を拾う
・ベッド → 時々振動する(マッサージ機能らしい)
ワン
「ここ保健室じゃなくて遊園地だろ!!」
メディカ
「病は気から♡ 楽しく治療するのが一番よ♡」
リム
「(……概念が強い……)」
ゼロは楽しそうだ。
ゼロ
「わ〜すごいすごい!!
ワンくん、このベッド気持ちいいよ!!
乗って乗って!!」
ワン
「乗ったら絶対なんか起きるだろ!!」
案の定、ワンが近づいただけでベッドが勝手に動いた。
ベッド
「患者さんのストレスを検出……
マッサージを開始します♡」
ワン
「だから勝手に判断すんな!!」
◆オチ:保健室の“改善要求書”
その日の放課後。
職員室。
多々良先生
「……白金先生。
保健室の器具が“動きすぎる”という苦情が多数来ている」
メディカ
「え〜♡ みんな楽しんでくれたのね♡」
多々良
「楽しんでない!!」
ワン
「先生!!もう少し普通にしてくれ!!」
ゼロ
「私は楽しかった〜!」
リム
(楽しかったのゼロさんだけ……)
メディカ
「まあまあ……♡
これから、もっと可愛い保健室にしていくから♡
また来てね〜みんな♡」
ワン
「二度と行くかああああ!!」
こうしてアヤメ高校の保健室は、
学校で最も危険な“癒しスポット”として認定された。
今日もカオスで平和だった。




