第5話『転校生リム、任務初日に心が折れかける』
【朝:HR前】
教室がざわついている。
委員長
「みんなー、今日は転校生が来ます!
静かに迎えましょう!」
ゼロ
「わーい!新しい友達!!」
ワン
「……お前はまず既存の友達に迷惑かけないことを覚えろ。」
ゼロ
「ワンは親友だよ?」
ワン
「あ、はい……」
委員長(照れつつ)
「じゃあ、転校生さん、どうぞ!」
スッ……
静かに現れた少女。
リム
「……リムです。よろしく……」
クラス
「ちっちゃ……かわ……」「静か……」
ゼロ
「よろしくねー!」
リム
「…………」
(※目をそらす)
ワン
「……なんか、引いてないか?お前に。」
ゼロ
「えー?気のせいでしょー!」
――だがこの時、リムの心の中ではこう叫んでいた。
(あれが……“対象ゼロ”……
……想像より……うるさい……)
【リム・内部モノローグ】
(私はブラック・キャンディ団の新人スパイ。
本日より対象“ゼロ”の監視任務に入る……
任務は簡単。
“ゼロに接近し、行動パターンを把握する”
……簡単。
ただの高校生。
普通の女子高生……)
この認識が
根本から間違っていた と気づくのは
この日の休み時間である。
【休み時間:リムの机がない】
リム
「……机が……ない。」
ワン
「……あっ。」
ゼロ
「はいっ!!犯人はわたしです!!!」
リム
「…………?」
ゼロ
「リムちゃんの机、キラキラに改造したよ!!」
リム
「……改造……?」
ゼロ
「持ってきてくるね!!」
バァァン!!
リム
(……嫌な予感……)
戻ってきたゼロの手押し台車には――
机
「(ドォォォン!!)」
※フルメッキ加工
※四隅に謎のスピーカー
※天板がタッチパネル化
ワン
「おい!教卓より機能ついてるじゃねーか!!」
ゼロ
「特別仕様だよ!“軽量化ミス”でめちゃくちゃ重いけど!」
リム
「…………(震)」
ワン
「“軽量化ミス”ってなんだよ!!」
ゼロ
「だって軽量化したら爆発したの!!」
ワン
「軽量化で爆発!?どんな理屈だよ!!」
リム
「……(この子……やっぱりただ者ではない……)」
【放課後:リムの観察任務開始】
リム
「(まずは尾行……教科書通りに……距離をとって……)」
ゼロ
「リムちゃーん!一緒に帰る?」
リム
「!? な、なぜ……気づ……」
ワン
「いや、完全に丸見えだろ。
お前、電柱の前に“立ってるだけ”だったし。」
リム
「……。」
(※擬態スキル:まだ低い)
ゼロ
「よし!今日はね〜新しいスパイグッズの実験するの!」
ワン
「嫌な予感しかしない。」
リム
(……スパイ……?
やはりただの女子高生では……)
【ゼロ、スパイ道具を取り出す】
ゼロ
「じゃーん!!
“自動追跡スニーカーくんDX”!!」
ワン
「DXになってもマシになってないだろ。」
リム
「……自動……?」
ゼロ
「履くとね!どこでも追いかけてくるの!!」
ワン
「それ追跡じゃなくてホラーだろ!!」
ゼロ
「じゃあ動かすね〜!」
スニーカー
『対象をロックオン。追跡開始。』
ワン
「何をロックオンした!?」
(※リムをロックオンした)
リム
「…………え?」
スニーカー
タタタタタタタタタッ!!
リム
「きゃっ!?」
ワン
「リムーーーー!!逃げろ!!」
ゼロ
「待って〜スニーカーくん!間違えてるよ〜!」
ワン
「お前の道具は間違える前提なんだよ!!」
【スニーカー vs リム】
リム
(なにこの状況……なんで私、靴に追われて……)
スニーカー
『ターゲット確保します!』
リム
「ひっ……!?
……え、えええぇぇぇぇっっ!!?」
ゼロ
「止まってー!!やさしくしてー!!」
ワン
「“優しくして”じゃねえ!!止めろ!!!」
リム
(……この子を監視しろって……無理……
今日だけで心が2回折れた……)
【そして結末】
ワンが飛び蹴りして
スニーカーは川へ落ちた。
スプラッシュッ!!
スニーカー
『水没検知。自爆モードへ移行しま――』
ドッッカアアアァァァン!!
ゼロ
「あーあ……また壊れちゃった。」
ワン
「壊れたんじゃなくて爆発したんだよ!!」
リム
「……………………(もう無理)」
(※目が死んでいる)
ゼロ
「ねぇリムちゃん!今日ね、すっごく楽しかった!!」
リム
「あ……う……はい……(棒)」
ワン
「(表情死んでるぞ……?)」
ゼロ
「また明日も遊ぼうねー!」
リム
(明日も……?
明日も……これが……?
…………任務……やめたい……)
――
こうして転校初日、リムの心のHPは
開始5時間で残り2%となった。
ゆるスパ学園は今日も平和(?)だった。




