第4話『ゼロ、図書室で静かにしたいだけなのに』 ――静寂は3秒で破られる運命だった
【昼休み:図書室にて】
ゼロ
「ふぅ〜〜……今日は静かに過ごしたいなぁ〜……」
ワン
「珍しいな。お前が“静かに”だなんて。」
ゼロ
「たまには静寂もいいでしょ?
ほら、こう……心に染みる感じのやつ。」
ワン
「……お前が静かにしてるところを想像できない。」
ゼロ
「ひどーい!」
(※すでに声が大きい)
司書の先生
「しずかに。」
ゼロ
「はーい。」
ワン
「(よし……今日は平和かもしれない……)」
――ワンのその考えが間違いであることは、
このあとすぐ証明される。
【机に座るゼロ】
ゼロ
「今日は読書しよ〜っと。
この“自動読み上げメガネ”を使えば楽だし!」
ワン
「やめろ。絶対に使うな。
そのメガネは昨日のテスト中に暴走して、
“先生の心の声”まで読み上げたやつだ。」
ゼロ
「大丈夫だよ〜、今日はちゃんとOFFに――」
(ゼロ、ONボタンを押す)
ピッ。
ワン
「……押したな。」
ゼロ
「押した!」
ワン
「堂々と認めるな!!」
【読み上げメガネ、即暴走】
メガネ
『……読書を開始します……』
ゼロ
「お、ちゃんと動いてる!」
メガネ
『ぴろりん♪』
ワン
「その音が不穏なんだよ!!」
メガネ
『本を読み取れません。
代わりに“部屋のすべての文字情報”を読み上げます。』
ゼロ
「え?」
ワン
「やめろーーーー!!」
メガネ
『“静粛に”
“返却期限”
“禁帯出”
“しずかに”
“節電中”
“禁帯出”
“禁帯出”
“禁帯出”
“禁帯出”』
図書室内
「わああああ!?うるさいうるさい!!」
「どんだけ禁帯出あるの!?」
司書の先生
「しずかに!!(ドンッ!!)」
ワン
「先生の“しずかに”が一番でかい!!」
【さらなる悲劇】
ゼロ
「ど、どうしよう!止まらないよ!」
ワン
「外せ!そのメガネを外すんだ!!」
ゼロ
「うん!!」
メガネ
『使用者の安全を確保するため、外れません。』
ワン
「お前の安全を確保する気ゼロだろうが!!!」
【ゼロ、カバンをガサゴソ】
ゼロ
「じゃあこれで止める!」
ワン
「やめろ。何を取り出す気だ。」
ゼロ
「“読書専用スリープガス”!!」
ワン
「ふざけるな!!図書室全員寝るだろ!!」
ゼロ
「寝るよ〜。ぐっすり寝るよ〜。」
ワン
「嬉しそうに言うな!!」
ゼロ
「吸ってみる〜?」
ワン
「吸わせるな!!」
司書の先生
「ちょっとあなたたち!ガスは禁止――」
ゼロ
「はーい!」
(※まったく聞いてない)
【誤作動:読書ガス散布】
シュワァァァァァァッ!!
メガネ
『睡眠モード開始……』
ワン
「ぎゃああ!!寝るな!!寝るな俺!!」
ゼロ
「ねむ〜〜……」
ワン
「お前が一番早く寝てるんだよ!!」
生徒たち
「スヤァァァ……」
「読書……す……や……」
司書の先生
「やめ……まだ……しおり……返して……」
ドサッ。
図書室の3分の2が眠りについた。
【メガネ暴走第二形態】
メガネ
『使用者の睡眠を検知。
“本の内容を夢に直接送り込むモード”へ移行します。』
ワン
「余計な機能ーーー!!」
ゼロ(寝言)
「……タコが……しゃべってる……」
ワン
「それ夢じゃなくて悪夢だよ!!」
【ワン、ゼロを揺さぶる】
ワン
「起きろゼロ!!メガネ止めろ!!」
ゼロ
「うにゃ……ワンが……三人いる……」
ワン
「三人もいらないだろ!!」
ゼロ
「いるよ!ツッコミ多い方が楽しい!」
ワン
「楽しさの問題じゃない!!」
【敵組織、意図せず巻き込まれる】
図書室の隅。
ブラック・キャンディ団の三人が潜入していた。
キャンディブラック
「お、俺たちも眠……」
「スヤァァ……」
キャンディレッド
「なるほど……図書室潜入作戦……完璧な……」
「……Zzz……」
ワン
「敵まで寝てる!!これはもう災害だろ!!」
【メガネ停止(物理)】
ワン
「もうこうなったら……!」
ワンはゼロのメガネを
ガッ
と掴み――
ワン
「壊す!!」
メガネ
『破壊行為を感知しました。
反撃モー――』
バキィン!!!
ワン
「よし!!」
ゼロ
「……あれ?寝ちゃってた?」
ワン
「全員寝たよ。お前のせいで。」
ゼロ
「えー?みんな寝不足だったのかな?」
ワン
「違う。」
【図書室:復旧後】
生徒
「頭が重い……」
「なんかハンバーグの夢見た……」
「俺は先生がダンスしてる夢見た……」
司書の先生
「……ゼロさん。
あなた、図書室出禁です。」
ゼロ
「えぇぇぇぇぇ!?」
ワン
(まあ、そうなる。)
【帰り道】
ゼロ
「私、図書室出禁になっちゃった……」
ワン
「予想通りだな。」
ゼロ
「でもまた本読みたい……」
ワン
「お前の場合、本よりメガネが本体だろ。」
ゼロ
「うん!」
ワン
「そこは否定しろ……。」
こうして今日も図書室が被害に遭い、
しかし誰も大怪我せず、
ゼロだけは元気いっぱいで帰っていく。
――ゆるスパ学園は、今日も平和(?)だった。




