第3話『ゼロ、学食で昼ご飯を食べたいだけなのに』 ――平和な昼休みは開始5秒で終了する
【昼休み:学食へ】
ゼロ
「今日の学食はカレーだって!早く行こ~!!」
ワン
「お前はカレーが絡むとテンションの上がり方がおかしい。」
ゼロ
「いや〜、学食のカレーって美味しいんだよ?ほら、こう……青春の味って感じ?」
ワン
「青春にスパイ活動は含まれないのか?」
ゼロ
「含まれませーん!」
(※元気に即答)
【学食:平和な風景(今だけ)】
委員長
「あ、ゼロさん!今日は早いですね……って、そのカバンは?」
ゼロ
「あ、スパイ用のお弁当箱!」
ワン
「学食に来てるのにスパイ弁当を持ってくるな。
というかその“弁当箱”は爆発する可能性がある。」
委員長
「爆発!?ちょ、ちょっと待っ――」
ゼロ
「だいじょーぶだいじょーぶ!」
(※まったく大丈夫ではない)
【注文カウンター】
ゼロ
「カレー大盛りお願いしまーす!」
おばちゃん
「はいよ〜。あら?あんた今日ジャージじゃないの?」
ゼロ
「今日はちゃんと服あるよ!昨日異世界に飛んだからね!」
おばちゃん
「そうなのねぇ。」
ワン
「そこは普通に流すんだ……?」
【席につくゼロ】
ゼロ
「いただきま〜す!」
ワン
「待て。お前のカバンからビープ音がしてる。」
ゼロ
「え?これ?」
ワン
「それは“自動激辛化スパイス生成装置”だ。
学食で使うな。絶対に押すな。」
ゼロ
「押さないよ〜。押すわけないじゃん。押す必要ないしね!押したりしないよ!絶対押さな……」
ピッ。
ワン
「押したぁぁぁぁ!!」
【カレー、暴走】
カレー
「ボッ……ボゴゴゴゴゴ!!」
委員長
「ゼロさん!?カレーが……湯気じゃなくて火柱を上げて……!!」
ワン
「カレーから火が出るな!!!」
ゼロ
「えー!?でも美味しそうだよ!!」
ワン
「お前の味覚はどうなってるんだ!!」
カレーはズゾゾゾッと盛り上がり、
火山のように噴火した。
生徒たち
「うわあああ!!カレーが襲ってくる!!」
「走れ!逃げろおお!!」
【学食パニック】
ゼロ
「あー!!カレーが机を追いかけてきてる!!」
ワン
「机じゃない!人を追ってるんだ!!」
委員長
「ゼロさん!どうにかしてくださいよ!!」
ゼロ
「わかった!じゃあこれ使うね!」
ワン
「何を出す気だ!?やめ――」
ゼロ
「“緊急冷却スプレー”!!」
シュァァァァァァァッ!!!
……
学食全体が、瞬時に、
極寒の世界へ変わった。
生徒
「寒ッッッ!!」
「カレー凍った!!」
「てか床まで凍ってるぞ!!」
ワン
「お前の“緊急”はいつも過剰なんだ!!」
ゼロ
「すごいでしょ?全部キンキンに冷え……」
ツルッ。
ゼロ
「うわああッッ!!」
ズシャアーーー!!!!
ゼロは凍った床ですべり、
厨房まで一直線に滑っていく。
おばちゃん
「やだ!!また来た!!」
【厨房:さらなる誤作動】
ゼロは厨房でなんとか停止。
ゼロ
「いたた……あ、ごはん炊いてる!」
炊飯器
ピロリン♪
ゼロ
「この炊飯器、スパイアイテムみたいな音する〜」
ワン
(遠くから)
「ゼローーー!!触るなーーー!!」
ゼロ
「触らないよ〜。触らな……触ら……」
(手が炊飯器のボタンに吸い寄せられる)
ピッ。
ワン
「押したぁぁぁぁぁぁーーー!!」
炊飯器
「発射準備完了。」
ワン
「何を発射するつもりだこの炊飯器は!!?」
次の瞬間――
炊飯器
バシュゥゥゥゥ!!!
炊きたてのご飯が
ミサイルのように飛び出していった。
ゼロ
「あ、ワン、ご飯飛んでたよ!」
ワン
「その感想はおかしい!!」
【鎮圧完了?】
凍ったカレー、
床一面の氷、
天井に貼りついているご飯粒。
委員長
「……今日の学食、壊滅しましたね……?」
ワン
「完全に壊滅したな。」
ゼロ
「えー?でもほら、みんな無事だし!」
ワン
「“無事ならいい”の精神で学食を壊すな。」
おばちゃん
「……ゼロちゃん、カレー代はいいわ。
むしろ作り直す気力がないのよ……」
ゼロ
「ありがとう〜!」
ワン
「ありがとうじゃない。」
【放課後:本部へ報告】
ワン
「今日の報告:
“学食のカレーが暴走したが、ゼロが鎮圧したため問題なし”……
……いや問題ありまくりだろ。」
ゼロ
「あれ?敵は出なかったね〜!」
ワン
「敵はお前を遠巻きに見ていたぞ。
“今日のゼロはやばい”って言ってた。」
ゼロ
「いつもじゃん!」
ワン
「確かに。」
こうして今日も学食が被害に遭い、
しかし誰もケガせず、
ゼロだけが元気いっぱいで帰っていくのだった。
――ゆるスパ学園は、今日も平和(?)です。




