第2話 『ゼロ、体育祭で敵を巻き込む』 ――走っても転んでも任務は進む(たぶん)
【朝:ゼロ、体育祭の準備】
ゼロは家の前で、なぜか真剣な顔をして体操服を見つめていた。
ゼロ
「……うん。やっぱり体操服が一番動きやすいよね!」
(※すでに着ている)
そこへワンからメッセージが届く。
ワン
『今日の任務:
“体育祭に紛れ込む敵を確認しろ”。
ただし絶対に戦うな。騒ぐな。
体育祭の妨害はするな。
というかお前は余計なことをするな。』
ゼロ
「はぁ〜い!わかった〜!」
……わかっていない顔をしていた。
【学校:体育祭準備】
ワン
「……で、お前その腕のバンドは何だ。」
ゼロ
「あ、これ?新しいスパイアイテム!
“スーパースピードバンド”!」
ワン
「絶対に使うな。」
ゼロ
「えっ……なんで?」
ワン
「お前が使うと校庭が消える。」
ゼロ
「えぇ〜!?校庭なくなっちゃうの!?」
ワン
「前に倉庫がなくなっただろ。」
ゼロ
「あっ……。」
(※ゼロは反省していない)
【開会式:敵がもう紛れ込んでいる】
校長
「えー……第34回虹ヶ丘高校体育祭を――」
「お、俺たちブラック・キャンディ団は……どこに混ざれば……?」
「たぶんA組。俺たち制服黒いし……」
「いや、ゼッケンが要るらしいぞ……?」
黒タイツのキャンディブラックたちが、
普通に生徒に紛れて右往左往していた。
ワン
「……お前、あれ見えるか?」
ゼロ
「見えるよ〜。あの黒い人たちでしょ?」
ワン
「“黒い人”じゃなくて“敵”だ。
ただなぜ堂々と整列してる?」
ゼロ
「うーん……体育祭楽しみなのかな?」
ワン
「たぶんそうだ。」
【100m走:ゼロ出走】
アナウンス
『次の競技、女子100メートル走ー!』
ゼロ
「はーい!がんばるぞ〜!」
ワン
「頼む、今日は変なことをするな。」
ゼロ
「任せて!」
(※一番信用してはいけない言葉)
【レース開始】
パンッ!
ゼロ
「うわ、スタート速い!」
ゼロはがんばって走っていた……
が、気付く。
ゼロ
「……あれ?バンドつけたままだ!」
ピッ。
ワン
「押すなと言った!!」
次の瞬間、ゼロは――
校庭を縦に突っ切って一直線に消えた。
砂煙だけが残る。
観客
「え!?ゼロちゃんどこいった!?」
「今、光の速さで……?」
「なんか飛んでいったよね??」
【その頃:空中を飛ぶゼロ】
ゼロ
「わああああ!?止まれな……止まれないぃぃ!!」
体育倉庫 → 本館屋上 → 校長室前 を通過し、
そのままグラウンドに不時着。
ズザザザザァーーー!!!
キャンディブラック
「ぎゃあ!?なんか飛んできた!!」
ゼロ
「あっ、ごめんね〜!」
【敵、巻き込まれる】
キャンディレッド
「お前たち、ゼロはどこだ!?
今日こそ俺様の作戦を――」
ドゴォォォッ!!!
ゼロの不時着により、
キャンディレッドごと砂煙に巻き込まれる。
キャンディブラック
「た、隊長ーーー!!隊長が砂の一部に!!」
ワン(遠くから)
「……またか。」
【騎馬戦:なぜか敵が参加】
騎馬戦の開始。
しかし――
キャンディブラック
「俺たちも参加したいです!!」
「今日は体育祭なんだろ!?やらせてくれよ!」
「え、だめ?え?いいの?ありがとう!」
先生
「ああ、人数足りなかったので助かるよ。」
※まさかの先生公認
ワン
「先生……黒タイツの集団を普通に受け入れるな……。」
ゼロ
「ワン〜!敵の黒い人たち、仲良くしてるよ!」
ワン
「仲良くしてるんじゃない。“混ざっている”んだ。」
【ゼロの騎馬戦:カオス】
ゼロ
「いくよー!前進ー!!」
ワン(騎馬の下)
「お前の“いくよー”は信用できないんだ……!」
ゼロ
「え、じゃあ後退ー!!」
ワン
「そういう問題じゃない!!」
その瞬間――
キャンディブラックの一人が
ゼロの前で転んで、玉砕。
ゼロ
「あ!大丈夫!?ごめんね!」
キャンディブラック
「は…はい……。
あなた様の騎馬……強すぎます……。」
ワン
「いやゼロは何もしていない。勝手に倒れただけだ。」
【競技終了後:敵が撤退】
キャンディレッド
「ぐ……今日のところは……
体育祭が楽しかったので帰る!」
キャンディブラック
「焼きそばうまかったー!!」
「来年も参加したいー!!」
ワン
「………敵が満喫して帰っていった……。」
ゼロ
「よかったね〜!」
ワン
「いやよくないだろ。」
【放課後:結果と報告】
ワン
「本部への報告:
『敵は体育祭を楽しんだあと、満足して撤退』……
こんな報告ありか?」
ゼロ
「ありだよ〜!」
ワン
「何故自信満々だ……。」
ゼロ
「だって誰もケガしなかったし、
体育祭もちゃんと終わったよ!」
ワン
「………まぁ、そうだな。」
ゼロ
「でしょでしょ!」
ワン
「……お前の言う“ちゃんと”が不安だ。」
しかし――
ワンは少しだけ笑っていた。
ゼロ
「来年の体育祭も楽しみだね〜!」
ワン
「その前に明日の学校が心配だ……。」
こうして、今日も波乱の体育祭(と敵巻き込み)が終わった。
明日もどうせゼロのせいで何か起きる。
――ゆるスパ学園は、今日も平和(?)である。




