14話 校門
「うわっ!最悪やっ!カラスにフンかけられた!」
「カラスって賢いよな」
「お前、友達がフンかけられたの見て、なんでその感想でてくるん?」
「カラスようやった!」
「賞賛すらしてるやん」
「いや、歩いてるホモ・サピエンスにフンをぶつける難易度考えてみ?それを成功させたんやから拍手もんやで」
「お前、人間のこと学術用語で呼ぶタイプなん?」
「野島の歩行スピードを完璧に計算して、ドンピシャでフンを落とさんと当てられへんのに。普通にすごいやん」
「カラスそこまで深く考えてへんやろ」
「ましてや飛びながらやで?
お前、飛びながらフンできるんか?できへんやろ!」
「いや、そもそも飛べへんし。
あと“フンできるんか?”て、人間扱いされてへん感じするから言い方考えてくれへん?てか、たまたま当たっただけかもしれへんやん」
「見てみ。あそこの電線。お前にフンかましたカラス、今“勝者の顔”して止まってるやん」
「おるな…確かになんか“やりきった感”あるな…」
「止まってからフンする選択肢もあったのに、
あえて空中から仕留めた。それが答えやろ」
「いや、ほんまは電線でやりたかったけど、トイレを目前にした安心感で肛門が先に解放される“あの現象”の可能性もあるやろ」
「“あの現象”て共感前提で言うてるけど、そんな経験ないから別に共感できへんねん」
「え?お前の肛門、トイレ見えた瞬間に“もうええか!”
ってならへんの?...そんな人間おるん…衝撃や」
「俺も“お前の肛門”っていう主語から始まる質問が初体験すぎて衝撃うけてるけど?」
「でも肛門ってそういうとこあるねん。
目的地見えた瞬間に“任務完了!”って誤認するタイプや」
「肛門ってそんな独立した意思もってるん?
まあ俺の肛門はそんな無責任ちゃうしな。最後まで責任感あるタイプや」
「肛門界の公務員やんけ」
「てか肛門トークやめへん?
こんなオープンな場で連呼していい単語ちゃうねん。
ちょっと恥ずなってきたわ」
「別にそんなセンシティブな単語ちゃうやろ。
肛門科の医者も普通に連呼してるやろし」
「あそこは一応クローズドな場やからええねん。
流石に肛門科の先生に“肛門トークやめてください”は
“お前、何しに来たん?”てなるやろ」
「ほぼ存在意義の否定やもんな。
肛門科なんて、それこそ肛門界の公務員やしな」
「その“肛門界の公務員”ちょっと気に入ってるやろ。
言う度ちょっと“どや”って顔してたやん。あのカラスと一緒やん」
「そういうの気づいても指摘せんのが優しさやで?
てか俺の言葉がカラスのフンと同じ扱いなん、酷すぎひん?」
「自動的にお前の口はカラスの肛門と同じ扱いになるな」
「肛門トークやめへん?」