表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界働き方改革~エナドリ自販機で社畜を卒業します~  作者: ゼニ平
第2部 『港町の黒焔鬼編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/66

【第25話】「炎に包まれた街」

 次の瞬間、広場は地獄と化した。


「きゃああああ!!」


「なんだこの炎!? 熱い……いや、冷たい……!!」


 悲鳴が重なり、逃げ惑う人々が押し合う。

 屋台が倒れ、飾り布が燃え、黒い炎が街路を這うように広がっていく。

 まるで、生き物のように。


「こっちだ!! 落ち着いて順番に!! 炎には近づくなよ!! 精神をやられるぞ!!」


「負傷者を運び出せ! 消化班はまだか!?」


「ダメだ!! どこも黒い炎に塞がれて、海に近づけねぇ!!」


 ギルド員たちが総動員で走り回る。

 恐怖に顔をこわばらせながらも、誰一人逃げ出す者はいない。


 その中心――。


「……セファ!!」


 人混みをかき分け、知久は炎の中心へ向かって必死に走っていた。

 そこには、広場の中央で黒焔を背に佇む男の姿。

 

 ヴィーノ・アッシュヤード。


 そして――その前に震えるセファ。


「おじ様……どうして……どうしてこんなことを……!」


 答えるはずのヴィーノは、静かに黒焔の剣を手にしていた。

 その刃は燃えているはずなのに、炎の揺らぎが一切ない。

 闇そのものを固めたような、異様な輝き。


「セファ。言葉は、もう不要だ」


 低く落ち着いた声だった。

 だがその奥には、何かが壊れたような静寂があった。


「この街を覆った黒焔は、今までとは違う。私を殺さねば、消えることはない」


「……殺す……!? そんなの、できるわけ……!」


「できなければ、この街は焼け落ちる。ギルドも……民もだ」


 言葉は淡々としていたが、その一言が、何より残酷だった。

 知久がセファの横に立った。


「……セファ」


「……わかっています、です。私は、支部長ですから」


 震えている。それでも前を向いていた。

 知久は息を大きく吸い込み、拳を握る。


「《ライフイズエナジー》、発動!」


 現れた自販機のボタンを押すと、彼の手元に一本の赤色の缶が転がり出る。

 中身を飲み干した瞬間、知久の腕が真紅の光に包まれた。


「燃え盛れ、《フレアハート》!!」


 手の中に現れたのは、炎の剣。


「先生……私も……!」


 セファは震える呼吸を落ち着かせ、グラン・マリヌスを構える。

 青い刃が黒焔の中で揺らめき、ほのかに光った。


――その姿を見て、ヴィーノは一瞬だけ、目を細めた。


 まるで、誰かを思い出すように。


「……本当に、よく似ている」


 その言葉は苦く、どこか嬉しそうでもあった。

 だがその直後、黒焔が地面から噴き上がった。

 

 戦いの合図のように。


「行くぞ、セファ!」


「……はい!!」


 炎と炎が、闇と光がぶつかる瞬間――

 街全体を包む黒焔よりも激しく、二人の覚悟が燃え上がった。


 戦闘が、始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ