最悪の朝食
ガッツリ虐め表現を含みます。
なんならいじめシーンの話です。
必要な話とはいえ苦手な方は自衛お願いします。
鳥のさえずりがどこからか聞こえてくる...。
そんな心地の良い朝はミシェルには訪れない。
なぜならミシェルの住む天井裏には鳥の巣が備えつけられているからだ。
朝は雛たちが朝ごはんを催促する絶叫に近い鳴き声に起こされる。しかしミシェルは煙たそうにする様子もない。
(朝、準備、イソガナキャ.....)
機械的に起き上がり古びたタオルケットをたたむ。
因みに今は12月も半ば。聖クリーチャー王国は四季の変わり目がハッキリしていて、夏は暑く、冬は極寒である。
もう一度強調しておこう。冬は極寒である。
氷点下の気温の中、暖房もついていない天井裏はまさに地獄である。しかも彼女に与えられている防寒具は古びたタオルケット、10年前に父から与えられた手袋、薄汚れた座布団のみである。しかし体を縮こませて暖を取る訳には行かない。彼女には仕事があるからだ。
「ちょっと!!いつまでグダグダしてんのよ!」
義姉であるジュリエットは癇癪持ちだ。
「朝ごはん早く作りなさいよ!!」
彼女は薄汚れた天井裏に入ることすら否み、1階のリビングからミシェルに向かって怒鳴り散らす。
ミシェルは慌てて部屋を飛び出し炊事場に向かう。
(今日、何かあるのかな…。)
せっせと継母と義姉の分の朝食を作りながらミシェルは考えた。なぜなら普段ミシェルは怒鳴られないように、彼女たちの起きる1時間前には起き上がって準備を済ませているからである。それが今日は寝坊した訳でもないのに朝から怒鳴られてしまった。
(出来た...。)
ミシェルはか細い腕で皿を抱えて、フラフラしながら、リビングで何もせずに待つ二人の元へ向かう。
「遅いわ!おそすぎる、、、!」
ジュリエットが机をバンとたたく。
するとカエラがジュリエットをなだめながら、嫌味な口調で続けた。
「しかたないわよジュリーちゃん。このネズミは出来損ないだもの!」
「それもそうねお母様!だってこの子は魔力すらないんだもの!」
「「ブッ、ハハハハハ!!」」
嘲る2人にミシェルは反応を示さない。
それに対してもジュリエットは気に食わないようで
「ちっ、ところであんたここで食べる気?」
ミシェルは首を横に振った。
それでもまだ癇癪は止まらずに、ジュリエットは続けた。
「お母様!こんな大事な日に寝坊して私たちの朝食を遅らせたこいつに、なんで私たちと同じ飯を食べさせなければいけないの!?」
「確かにそうね。ネズミはネズミの飯を食べていればいいのよ。」
そう言ってカエラはミシェルの分のお皿を分取り床にぶちまけた。
「はいどうぞ、お食べなさい?」
にっこりと笑ってさっきまで朝ごはんだったものを指さすカエラは、ある種狂気的な光を瞳に宿していた。
しかし、感情を失ってしまったミシェルは涙を流すことも、悲しむことも、ましてや抵抗することも出来なかった。
言われるがままに這いつくばりながら朝ごはんを食べるミシェルはもう人のそれを逸脱していた。
ジュリエットは心底冷たくいい放った。
「気持ち悪」
そうしてミシェルを一切無視し、二人は朝ごはんを平らげ、片付けることも無く部屋を出ていった。
それから1時間程後にカエラとジュリエットはやけに派手なドレスに身を包み、どこかに出かけて行った。
床に蹲ったまま動くことの無いミシェルを置いて。
つづく
この外道が!!
↑私が書いた。