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頬に傷もつ私の一生 1

久々です。リハビリです。

私の人生は波瀾万丈。もちろん最後はハッピーエンド。――傍から見たら、そうは思わないだろうな。きっと転落の奈落の世界の片隅。私のことを知ってたら、できればお付き合いしたくないタイプだってすぐ判断すると思う。

私だって、こんな人生だってわかっていたら、生まれてきたくなかったくらいだもの。



お父様とお母様は、私のことを愛していなかった。好いてもいなかった。少なからず憎く思っていた。お母様はだけれども少しだけ執着して、その心と身体を壊した。実家がそれに気づき、お母様だけ引き取っていった。

原因は私。私の見た目は、お母様の金髪碧眼とも、お父様の褐色の髪の毛にも似ていない、頭の上は黒いのに、下に行くほど緑色という、奇想天外な仕様だった。赤青黄色に白に青、貴族であれば魔法の属性やら精霊の加護やなんかで髪色は多種多様だけど、2色はない。どこにもない。白髪だったらどんなにマシだっただろう。瞳はかろうじて父の青色だったんだけど、ダメ押しみたいにもう一つ、顔立ちが控えめな奥二重のあっさりした感じで、まつ毛バシバシウィーアー濃い顔! のお父様とお母様からはちょっとはなれた顔立ちだった。

その容姿に、お母様は怯えた。――怯えてしまった。


お母様はお父様が大好きだった。文字通り気が狂うくらい大好きだったけど、お父様に出会う前は恋も多くて夢見がちで、色々な男性をそのお花畑の片隅に住まわせていた人だったから。

そんなことはあり得ない、と告げる人もいない世界で、自分の子供が取り替えられたかもしれない、とか自分がもしかしたら夢の間に夫以外の男性と致してしまったのではないか、とか、そんな不安に駆られ、実に運の悪いことにお父様も外見と内面合わせて素敵な人だったから、お父様に恋慕を寄せるメイドや、我が子かわいい祖母の手により、その予感を一人で深めて、しんどくなってしまっていた。

いやあ。かわいそすぎる。

お母様は恥じていたけれど、遠くから見守り、お茶会でどの方この方言い合うだけのことだったらしい。お母様はとても可憐な方だったから、その視線に気づいた紳士がこれもまた礼節を持って交流していただけ。お茶会、舞踏会、鑑賞会。中心が自分の容姿を自覚した可憐なお嬢様だったなんて、よくある話だ。若いみぎり、夢見る色男との恋愛にも満たない遊戯から現れいでた一つの真実の愛。いいじゃん、一人を選んで、お母様はお父様をただただぎゅっとして、生涯を過ごす覚悟をしたってだけの話なんだよ。


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