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紺色の想い箱  作者: 春木屋 翔
2/3

~ 薪暖炉と茸とさつまいものシチュー ~

10年後..


レイア 「ただいま」


少女が茸とさつまいもの入った籠を

手に提げて外から帰ってくる。

ドアと少女の間から夕日が差し込む。


ガウディ 「おかえり。レイア」


「いつもすまないね。ありがとう」


老人が狭い部屋の隅にあるベットで寝ている体を

起こそうと枕横の杖へと手を伸ばす。


レイア 「起きなくていいよ」


「ご飯今から作るから待ってて」


そう言うと少女はベットとは反対側の壁に

寄せられている小さな引き出しが二つだけある

棚の上で分厚い木のまな板を横に寝かせると

手馴れた手つきで野菜を切り始める。


トントン、トントン

静かな小部屋に野菜を軽快に切る包丁の音と


パキッパキパキッ

薪が炎の中で割れる音だけがしている。


夕日が沈み外はすっかり暗くなっている。


薪暖炉の火の光だけが

小さな部屋を照らしている。


レイア 「おまたせ、食べられそう?」


少女が薪暖炉に新しい薪を入れながら

ベットに顔を向けている。


小部屋の真ん中に置かれ雑に作られた

円卓のテーブルには茸とさつまいもの

シチューと木のスプーン置かれている。


ガウディ 「ああ、もちろんだよ」


老人は枕の横の杖を手に取り

ゆっくりと重い腰を上げテーブルの椅子

までこれまたゆっくりと足を運ぶ。


少女は微笑みながら老人を招き入れるように

椅子を引き老人の両肩に手を添え座らせる。


ガウディ 「これはまた美味しそうだ」


老人が嬉しそうにスプーンを手に取る。


レイア 「今日はマケ茸がたくさん

見つかったの」


「いつものシチューよりも

ちゃんと栄養が取れるから」


少女も老人と向かい合う椅子に腰掛ける。


ガウディ 「マケ茸を食べるのなんて

久しぶりだのぉ」


「大変だっただろう、レイア」


老人が少女に視線を向けまた視線を

手元のシチューへと戻すと


ガウディ 「では、ありがたく頂こう」


老人はゆっくりとスプーンを口へと運ぶ。


ガウディ 「んん、これはうまい」


「レイアのシチューは

本当に優しい味がするね」


その言葉を聞いて少女は少し照れくさそうに

下を向きながらスプーンを手に取り食事を始める。


レイア 「ねえ、お母さんってどんな人?」


少女が少し戸惑いながら恐る恐る口を開く。


老人も少し驚いた表情で少女の顔を見る。


ガウディ 「おまえさんの口からお母さん

という言葉が出るのはこれで二度目だね」


老人はゆっくりとスプーンをテーブルに置く。


ガウディ 「おまえさんのお母さんは

レイア、キミによく似ておる」


「おまえさんと同じように

蒼白の美しい素敵な女性だった」


少女は瞳の奥を輝かせながら老人を見つめる。


ガウディ 「そして、お母さんはおまえさんと

この世界を誰よりも強く愛した人だよ」


少女はしばらく固まった表情で老人を見ている。


薪暖炉の新しい薪がパキッパキッと

また静かに音を立て始めていた。


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