~ 蒼白の少女と想い箱 ~
はじめに..
これは「小説」ではなく「シナリオ」
そう私は置き換えています。
小説というには言葉の綴りや表現力が
あまりにも無能だと物語を執筆している
私自身も感じているところ。
それでいて執筆をすることが
人生で生まれて初めての試みなのです。
だがしかし、物語を描いてみたい。
そう純粋に「想い」を巡らせ
久しく感じられずに忘れていた
無邪気な少年のような心の弾みの音が
聴こえたとき私の手は知らぬ間に
「小説」と検索ワードに打ち込んでいました。
始まったばかりの物語。
物語の展開はこれから私を取り巻く日常
そのものが答えへと導いてくれる。
そう想像するだけで今の私は皆さんと同じ
一読者としてこの作品を共に楽しみながら
主人公レイアの歩み出す一歩一歩に
成長と期待を寄せずにはいられないのです。
私はこの物語が完結を迎えるとき
この「シナリオ」を作品の骨組みとし
本当の意味で生まれて初めての小説を
執筆することになるでしょう。
一人でも多くの方の「想い」が
この物語を優しく包み込みますように。
ある初冬の晩。
空気が澄んでいて夜空には一面の銀河。
プレアデス星団の6つの一等星が手を伸ばせば
今にも掴めそうな激しい光の会話をしている。
窓の外には薄らと粉雪が降っているようだが
暗闇は深く小さな雪の結晶達はその存在を
まるで忘れられている。
少女「この箱は何?何が入ってるの?」
火を灯したばかりの薪暖炉の前で
鼻先と頬を赤くした少女が
白い吐息を吐きながら問いかける。
老人「これかい?」
「これはお母さんからおまえさんへの
誕生日プレゼントだよ」
「今日はレイアの5才の誕生日だからね」
少女は少し首を傾げ キョトンとした顔で
老人が両手でとても大事そうに手にしている
紺色の光沢の美しい箱に不思議な視線を向ける。
少女 「誕生日って..なに?お母さんって..なに?」
少女は何もわかっていない様子だ。
老人 「これはカラクリ箱というものだ」
「近頃は想い箱とも言われているがね」
少女 「想い箱?」
老人 「そうだ、想い箱だ」
少女 「この箱、箱なのに蓋がないよ」
少女はまたキョトンとした顔で
紺色の光沢の美しい箱から老人の顔へ視線を移す。
老人はとても穏やかな表情で
床に膝をつき少女と同じ目線までしゃがみこむ。
そして、少女の問いに優しく答える。
老人 「これはカラクリ箱だと言っただろう」
「蓋がなくとも開けられる箱なのだよ」
少女の表情は変わらない。
老人 「そして、この箱はただの箱ではない 」
老人が紺色の光沢の美しい箱を少女に差し出す。
少女も老人が両手で持つ箱に両手を添える。
老人 「この箱の中には大切な想いが入っておる」
少女 「想いってなに?」
少女がまた一つ、疑問の問いを投げかける。
老人は少女に紺色の光沢の美しい箱を渡しながら
ゆっくりと優しく少女を抱きしめる。
老人 「いいかい、これが想いだよ。」
「そのうちおまえさんにもきっと..
わかるときがくるさ」
老人は少女の肩の上に顔を寄せ
涙が僅かに零れると同時に瞳を閉じた。