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努力する彼女と努力をやめた僕  作者: 成浅 シナ
1年生編
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②堕ちる

10点満点中9点。


今日も概ね、いつも通り。


僕のクラスの国語担任は毎回授業の初めに小テストを行う。

といってもその内容は前の授業の終わりに範囲が伝えられるためその範囲をしっかり勉強していれば満点を取ることは簡単だ。クラスでも半数は満点を取っている。



僕が所属する1年1組は特進クラスだ。


入学前の春休みの登校日に行われた説明会兼振り分け試験が行われそれにより学年で特に成績がいい人は毎年このクラスに振り分けられる。

僕は中学のときの受験勉強が功を奏し、運良く(あるいは運悪く)このクラスに振り分けられた。



さすが、学年で特に優秀な生徒が集まるクラスというところか真面目な生徒が多い、というのが入学して1ヶ月過ごして見ての感想だった。



10点満点中9点。


まあ、悪くはない。むしろあと1問で満点なんだから十分優秀なのではないだろうか。

授業前の休み時間に少し復習しただけだっただけに、この結果は上々、自分の中では満足だ。


だが、満点ではない。


これもいつも通りだ。

詰めが甘い、という訳ではないのだがどういう訳か僕は昔から良い結果を残せずにいる。

本気を出しても、出さなくてもそれは一緒。


別に成績が悪いという訳では無いのだ。こうして特進クラスにいる訳だからどちらかといえば良い方なのだろう。


定期テストは優秀、でも、全国テストや受験となれば平均値。

受験の場ではおおよそ6割が合格ラインなのだから5割の僕は選ばれない。


中学受験も高校受験も。


肝心な時に結果が出せない。

プレッシャーに弱い。

1度のチャンスに負ける。


何度も何度もそんなことが続きーーー



今の高校に受かった。

『本来目指していた所』よりはレベルは低いけど県内では1番の進学校。


この間の中間テストでは学年48位。可もなく不可もなくな平均順位。



努力して上を目指そうと躍起になっていた僕は消え、現在の環境に身を委ね、甘んじ、努力が身にならないことを自身で証明した。



努力すればいつか必ず結果になる。認められる。そう思っていた僕は消えた。


過去の僕のモットーは『努力をすればするほど必ず良い結果になる』だったが、今のモットーを強いて挙げるとすれば...こうかな。



『最低限の努力で最低ラインの結果を得る』。


平均平凡。

対して注目も浴びずのらりくらりと日々を送る。

結局これが一番なんだ。



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