ホテルでの毒殺事件発生!!動機は1年前の転落事件!?一年前に何があったのか...そして犯人は誰なのか..!? ※犯人は田中です
「あ...あ...きゃああああああああ!!!」
話は女性の悲鳴から始まる。とあるホテルの一室で、赤い服に黒い水玉のある服を着た女性がそれを見つけて大声で叫ぶ。ホテルの一室で突然女性が叫ぶことがあるとすれば、それは大抵遺体を見つけた時だろう。
「あ...あ...」
強く風が吹き付けるそのベランダで、人が死んでいる光景を見てしまった女性は言葉にならない声で女性は自分の手で口をふさぐ。
叫ぶ声を聞きつけて現れた男4人も遺体を見て驚いた表情をする。そして女性は震える手つきでスマホを取り出す。遺体を見つけたこともあって気が動転しスマホをその場に落としてしまう。
「警察なら、ぼくが!」
4人の男のうちの1人が、慣れた手つきで携帯電話を取り出し電話をする。しばらく電話をしたのち電話を切り少しの間遺体を見ていた。
しばらくしてサイレン音が聞こえ始めそれがどんどん近くなって行く。ホテルのベランダの外にパトカーが2台ほど止まりそこから刑事と思わしき男が2人出てくる。そして刑事はホテルに入り数分コンコンとノックの音が聞こえ、部屋に2人の刑事が入ってくる。一人は小太りの男でもう一人はヒョロヒョロの男だ。
「警察です」
そう名乗るとベランダに向かい遺体を確認し刑事はその遺体の男性に手を合わせる。少しすると鑑識が入ってきて現場検証を始める。
死んだ男の名は松井。どうやら現場に訪れた3人と一緒に旅行に来ていたようだ。その3人の男、加藤、安部、田中とスーツの男性の4人にはその間、男4人と第一発見者の女性は事情聴取を受けることとなる。
「ええ、私は加藤といいます。この人とは知り合いで...」
「自分は田中と言います。同じくこの死んだ佐藤とは知り合いで...」
「俺は安部ってんだ。俺たちは4人で旅行にきてたんだ!4人と言ってもこのおっさんは違うけどな!」
そう言いながらスーツの中から見えているオーバーオールの薄茶色の帽子を被った男を指差す。その男は顔を隠すように帽子を深くかぶる。
「で、そこの薄茶色の帽子のあなたは..?」
「自分は...」
全く関係なさそうなのに事件の現場にいる、そのオーバーオールの男は帽子を脱ぐ。年は60ぐらいだろうか。メガネをかけていてダンティーな感じの男だ。
「私は探偵です」
そう言いながらテーブルの上にあった茶色い小瓶とその中の液体を吸い取るスポイトが置いてあった。小瓶には赤い蓋がしまっている。
この瓶に毒が入っていてそれを混入して死んだのだろう。遺体の前にはコップが倒れてあり近くに水がこぼれた跡がある。小瓶を吟味しながら第一発見者の女性にこう尋ねた。
「この瓶は赤い蓋がしまってましたか?」
探偵がそう尋ねると「あ...はい」と女性は震えた口で言う。遺体を発見してまだ動揺が隠せないのだろう。すると探偵はもう1つ、質問を女性に投げかけた
「あと1つ。窓は開いてましたか?」
男の見る方には緑のカーテンとぴったりとしなっている窓があった。窓にはちゃんと鍵がかかっている。
「いいえ、閉まってました」
「だとするとこれは自殺なのでしょうかねえ」
そう言いながら人差し指を顎のところにおいて不思議そうな表情を浮かべる。
「それが本当なら、自殺をする人間が窓を閉めたりわざわざ瓶の蓋を閉めますかね?そしてなぜわざわざベランダに行って自殺したのか...その場で飲めばいいものを」
「ベランダ云々はこの女が犯人だとしていくらでもできるだろ!几帳面な人だったのかも」
「本当にそうなのでしょうかね」
「それはあんたが考えるんだろ!!」
「そうですね」
探偵を名乗る男はそうニッコリしながら答えた。
解剖の結果、やはり死因は毒によりものだった。やはり茶色い小瓶には毒が入っていて、それをコップの入っていた水に垂らしてそれを飲んだことで死んでしまったのだ。死亡推定時刻は夜の8時から9時。容疑者は3人。一緒に旅行に来ていた3人の男、加藤、田中、安部だ。誰かが殺したのではないかと探偵は考えていた。
探偵は考え事をしながら部屋の前に立った。コンコンとノックをして部屋に入る。それは、別室にいる田中の部屋だった。このような事件もあと、今は3人とも別の部屋で待機している。一人一人話を聞こうという腹づもりだ。探偵は木でできたテーブルを隔てて向かい合うように座った。目の前の田中という人物はこういうのが慣れていないようで緊張しているようだ。なぜか探偵と名乗る男も入ってきた。とりあえず探偵の男を無視して刑事は話を始める。
「失礼します。あなたが田中さんですね?」
「はい...」
「知り合いがあんなことになって...大変恐縮なのですが仕事柄こういうことを尋ねるのが仕事でして...」
「わかってます。事件のあった時間にどこにいたか、ですよね」
「はい」
「その時間は...部屋にいたので証明はできません」
田中という男は癖なのか髪をいじりながら喋っている。髪を指に巻き付けたり、髪を持ち上げ指でこすったりという動作が喋りながらも多々見られた。
色々と聞いた後「ありがとうございま
した」といいながら席を立つ。
すると後ろから「あの!」という声が聞こえてくる。
「振り向くと少しモジモジしながら田中という男が少し黙った後にこう続けた。
「もしかしたら、あの事件が関係あるのかも...」
「あの事件とは?」
「1年前の転落事故...」
それは1年前、河野という女性が転落して死ぬという事件があった。田中、加藤、安部、そして死んだ松井は、その河野という女性とキャンプに行っていた。自由時間というのが設けられ、各々好きなところに行けるというものだ。それは1時間ぐらいを想定していたのだがいつになっても河野が戻って来ず、散策すると崖の下で遺体となって発見されたのだった。
扉を開けて今度は反対側の部屋の扉をノックする。そこから出てきたのは容疑者の2人目、安部だ。安部は椅子に大抵を座らせると「よっこらしょ」と言いながら白いテーブルの反対側に座った。
「で?何かわかったの?」
「いえ、なにも」
「こういうのってさ、まず犯行時刻にどこにいたかとか聞くんだよね?」
「ええ」
何だかこの安倍という男は事情聴取を楽しんでいるようだ。興味津々に色々と聞いてくる。
「今んとこと犯人の目星はついたの?」
「いえ」
「あなたは河野さんという人物の転落死の事件は覚えていますか?」
急に横から探偵が口を出してきたのを不満そうな顔で刑事は探偵を見る。阿部という奴は「あー!」という声を出して手を叩いた。
「覚えてるよ。あの時は死んだ松井もいたからね。やっぱあれ絡みの事件なの??」
「いえ、まだ何とも」
「それではこれで終了です。もうしわけないのですがもう少しここに居させていただきますので」
「あ、全然いいよー」
軽いノリで安部は出て行く刑事に手を振る。怪しい気もするのだが、とりあえず最後の人のところに行くことにした。その前に刑事は探偵の方を向いてこのようなことを言い出した。
「もしかして、あなたじゃないですよね?」
「そんなわけないじゃないですか!」
「じゃああなたは犯行時刻どこにいましたか?1Fでタバコを吸ってました。監視カメラもあるので確かめてください」
「そうですか」
加藤にも事情聴取をしたがこれといって得られたものはなかった。探偵は3人の事情聴取が終わると刑事と分かれて現場に再び向かった。ドアを開けるともう遺体は回収されていた。ベランダを開けて見回すと探偵は何かを発見した。それを見た探偵はフット笑みを浮かべるのだった。
「あなた方3人を呼んだのは、犯人が分かったからです」
探偵は安倍、田中、加藤の3人を呼ぶと目の前でそのようなことを話していた。
3人ともお互いを見合っている。すると探偵は推理を始めた。それは素晴らしいもので事件の全容を解明するのに十分だった。田中という男のアリバイも崩れ、犯行ができるのは明らかに田中しかいないのだということも明らかになっていた。
「犯人は...」
田中はゴクリと唾を飲む。1年前、河野を突き落とす現場を松井に見られて強請られていた。それで、今回の事件を思いついたというわけだ。もう犯行の内容を明らかにされた時点で田中が犯人だということは明白だった。ああ、あそこまでやったのにバレたのか...」田中はそう思いながら自分が名指しされるのを待っていた。
「犯人は加藤さん、貴方ですね!!」
その言葉に現場は凍りついた。




