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第1部 序章
燃え盛る城塞。
城塞の周囲にある家々も日に包まれ、天は真っ赤に染まっていた。
だが、その熱気を気にするものはいない。
1人の兵が、男のもとに駆け寄り、跪く。その兵の鎧は血に染まっていた。
その兵を見下ろしている男は、他の兵とは違い、細かな装飾を施された鎧を身にまとっていた。その鎧もまた、返り血で赤く染まっている。
「ハルク王、蛮族の王の首をとりました」
その言葉を噛み締めるように、一度、その言葉を飲み込んだ。
「とうとう、やったか……」
ハルク王の言葉に、側近たちが大声で勝鬨をあげた。
そして、この城塞すべてが、震えるほどの歓喜に包まれた。
シーク大陸は、ダーシィ国とカンザ国の2国で治める大陸となった。そして、ダーシィ国王ハルクと、カンザ国王ロルクは兄弟。実質、この一族にてシーク大陸を統一したことになる。
ダーシィ国がシーク大陸最後の蛮族を討伐。
この情報は、波紋が広がるが如く、伝わっていった。
登場人物:
ロルク王:カンザ国国王。ダーシィ国国王ハルクの兄。
ハルク王:ダーシィ国国王。カンザ国国王ロルクの弟。