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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

unknown world

作者: 内藤アルト

2作目。やっぱりなんとなく思いついたネタ。焼肉屋さんで思いついてなんとなく完成させた作品。

最後グロいまで行かないと思うけどそういう展開になるかも。

 

 いつも通りの帰り道。

 いつも通りの駅構内。

 いつも通りの日常。

 退屈で飽き飽きだ。

 いつも通り家に帰ろうと駅の出口に向かう。出口までの間にある長い通路。そこにはひっそりと目立たない分かれ道がある。その存在はおそらくほとんどの通行人が認識しているだろうが、そこを通る人を俺は見たことがない。一体どこに通じているのだろうか。

 いつもなら気にせずに帰宅するところだが、今日は何故だか気になって仕方がない。

 俺はそこを抜けてみることにした。



 先ほどまで歩いていた道よりも、言ってしまえばかなりボロい。本当に同じ駅構内なのか。

 10分ほど歩いた頃、通路の終わりが見えた。



 眩しい。

 出た瞬間に感じたのは目も開けられないほどの眩しさ。しかしそれはすぐに収まり、辺りは暗くなった。急な変化だったためしばらく目が機能しなかった。

 目が慣れてくるとここが路地裏だということに気づいた。目の前にはゴミ箱。すぐ横には壁。とてつもなく狭い。そして臭い。一刻も早くここを出たい。

 後ろを見てみると壁があるだけで道はない。……来た道がなくなっている。

 映画や漫画ではお約束の展開だが、まさか自分が体験することになるとは思わなかった。……何故こんなに落ち着いてるんだ俺。

 まあそんなこと考えるより先にまずここを出よう。そろそろ鼻が限界だ。腐臭が酷い。



 路地裏を抜けると街に出た。高層ビルが立ち並び、その間を多くの人が行き交っている。都会でよく見る光景だ。よくみる光景なのだが……違和感がある。

 俺の近くにいる奴全員が俺をチラチラと見てくるのだ。物珍しげに。変なものでも見るように。

 何人かが立ち止まってこちらを見ている。近づいて来た。何かボソボソと言いながらこちらに手を伸ばしてくる。

 やばい。こいつらはやばい。捕まったらいけない。

 そう思ってはいるのだが動けないのだ。

 何が怖いのか、何がいけないのかわからないが、本能が逃げろと言っている。頭が混乱して動くことができないのだ。

 そうこうしているうちに奴らは目の前まで来ていた。

 ああ、駄目だ。もう終わりだ。

 そう思った瞬間、何かに手を引かれた。

 手だ。誰かの手が俺の右腕を掴んでどこかへ走って行く。俺をどこに連れていこうというのか。俺をどうしようというのか。

 混乱する頭でそこまで考えた時、俺はどこかの建物の中にいた。



「ふぃー、なんとか振り切ったなぁ」



 俺を引っ張っていた男が呟いた。そいつはスーツを着た20代後半程度の男だった。そいつは眼鏡を拭きながら俺に話しかけてきた。



「お前も災難だなぁ、こんなところに来ちまって。見たところこっちに来たばっかだろ」



 先ほどの人たちに感じていた恐怖感はこの人からは感じられず、逆に、妙な安心感があった。



「なぁに、こっちのことは俺が説明してやるから心配すんな。」



 その人の話はこうだ。

 ここは俺が今まで住んでいた世界とは違う世界で、元の世界とはわずかに原理が違うらしい。便宜上こちらのことを裏世界、元の世界を表世界と呼ぶことにしよう。

 表世界と裏世界はその名の通り密接に関係している。表世界がなければ裏世界はなく、その逆もまた然り。

 表世界と裏世界はとある条件下で繋がってしまうらしく、どうやら表世界から裏世界への道自体はいつでも開いてるらしい。裏世界から表世界への道がいつ開くのかはまだ不明という話だ。つまり裏世界から表世界へ行くことは今のところ不可能ということか。俺は帰れないと…。

 裏世界では表世界の人間に対して裏世界の人間と同じ扱いをしていないようだ。人種差別というものだろうか。そこについては男は言葉を濁していた。そこまで酷いのだろうか。

 そうそう、この男、山田と呼ぶように言われたので山田と呼ぶことにするが、山田も表世界の人間らしい。この間迷い込んだところをこの建物、この会社の社長に拾われたのだという。山田が言うには、俺のこともここに置いてくれるそうだ。



「よし、まずは風呂に入ってもらおうか。ここでは清潔第一だぞ。もちろん健康も第一だ」



 そう言って山田は俺を浴場に案内してくれた。

 着替えを渡され、俺は風呂場に行く。俺が風呂に入っている間、山田は俺の健康診断の準備をしているらしい。

 風呂場はいたって普通で、銭湯を思い出した。特に変わったところもなく、表世界と違いないようで、無事入浴を終わらせることができた。



 服を着て浴場から出ると山田がいた。

 早速健康診断を始めるらしい。

 診断の内容は表世界でよく見るものから、あまり見かけない、というより聞いたこともないようなものまであり、本当に身体の隅々まで調べられた感じがする。

 健康診断の内容によって部屋の移動があり、移動中に山田にこの会社について聞いた。どうやらここは飲食業を生業としているらしい。今のところすき焼き店、ステーキ店を全国に展開しているらしく、俺は新しく始める予定の焼肉店に行くらしい。

 そんなことを話しているうちに終わったようで部屋に通される。ここが俺の部屋らしい。



「君、もしかして風邪でもひいてたのかな。薬飲んでるよね。もう治ってるみたいだから飲むのはやめてね。あと、しばらくの間はこっちで君の生活を徹底的に管理するからちゃんと従うように。今日はとりあえずもう休んで良いよ」



 初めに会った時と雰囲気が変わっているように見えるが気のせいだろうか。お仕事モードというやつか。

 渡されたスケジュールを見ると、食事時間、運動時間、そしてその内容などが書いてあり、その時間以外に余計な運動、食事をしてはいけないのだという。

 とりあえず今日は疲れた。俺はベットに寝っ転がる。明日からの生活に不安は残るが、部屋にある本棚を見ると1週間程度なら退屈しなさそうなくらいの本が揃えてあった。

 ひとまず今日は寝よう。



 ・

 ・

 ・



 ジリリリリリリッ


 部屋中に響き渡る大音量の音に俺は目を覚ました。もう起床時間か…。

 一瞬いつもと違う部屋に驚きはしたが、すぐに昨日のことを思い出し、落ち着くことができた。



「おはようございます。お目覚めはいかがかな」



 山田が部屋に入ってきて言う。1時間後に朝食を運んできてくれるらしい。今のうちにスケジュールを確認しておく。と言っても、決められてるのは食事時間と運動時間と起床就寝時間のみでほとんどは自由時間だ。確認するのに時間はかからなかった。余った時間は本棚の物色をする。恋愛小説、ホラー小説、観光雑誌、聖書、辞書、専門用語集、様々な種類の本が置いてあるが、観光雑誌のグルメページなど、何故か切り抜かれているページがあった。何故だろう。



 朝食はトーストと大豆のスープだった。……質素だな。

 その後2時間ほど自由時間があり、運動時間になった。

 運動はランニングだ。外で走るわけではなく、ランニングマシンを使ったものだけど。

 終わったらシャワーを浴びて部屋に戻った。

 部屋に戻って少し疲れたから仮眠をとっていると、いつの間にか昼食の時間になったらしく山田が食事を運んで来てくれた。

 昼食は白米とキノコのソテーと豆腐の味噌汁だった。……朝よりは豪華か。

 その後やはり2時間ほど自由時間を挟み、運動時間になった。

 内容は同じだ。今日はこれで運動は終わりらしい。風呂に入って部屋に戻り本を読む。表世界では見たことのないものだがなかなか面白い。時間を確認するのも忘れるくらいに夢中になっていたようで、ふと顔をあげると山田が少し困った顔をして立っていた。傍に料理があることから夕食を運んで来てくれたのだろう。

 夕食はパンと豆腐ハンバーグとコーンスープだった。……そうまでして肉を食わせたくないのか。



 それから数日、同じような日々が続いた。

 ある日山田がこっそり俺に話しかけてきた。



「実は私、表世界では余命宣告を受けておりましてね。AIDS……知っていますよね。医療ミスか何か知りませんが、幼い頃に感染しまして…。まあ、こちらでは医療も発達していますし、薬は欠かせませんが、今となっては感染していて良かったとも思っているんですよ……。よろしければ、私のウイルス、お分けしましょうか」



 そう言って山田は注射器を取り出して自らの血液を採取する。そしてそれを俺に向けて近づいて来るのだ。

 やめろ。そんなもの移されてたまるか。そう言うと山田は悲しそうな、いや、可愛そうなものを見るかのような目でこちらを見つめて、そうですか…と呟き部屋から出て行った。

 一体なんだったんだ…。あいつは何がしたかったんだ…。



 しばらくして、寝る準備をしていると、突然山田が入って来た。

 急にどうしたんだろうか。今日はもう寝るだけのはずだが。



「さっさと行きますよ。早くしてください」



 その目は今までのような優しいものではなくて(今までのものが優しかったかと言われると悩みどころではあるが)、なんというか、そう、まるで生ゴミでも見るかのような目でこちらを見ているのだ。俺が立ち上がると、いつものように扉を開けて待っていてくれるが、一つ一つの動作が雑で、突然の変わりように驚きを隠せない。



「これからあんたには作業室に入ってもらう。右の黒い扉が男用、左の白い扉が女用だ。間違えるなよ。さっさと行け」



 なんなんだ、この山田の態度の変わりよう……。

 とりあえず言われた通り黒い扉を開け、中に入る。

 入った瞬間に香る鉄の芳香。

 入った瞬間に見える紅い色。

 入った瞬間に感じる鈍い痛み。



 おれはいったいどうな………………………








山田はAIDS持ちなので勧誘専門。怪しまれずに表世界の人間をせいにくj…作業場へ誘います。

おにk…新しく連れて来た表世界の人間は健康で引き締まった身体になるまで徹底管理されます。薬も身体から完全に抜けるまで待ちます。

まあ解説するまでもなくきっと読み取れているでしょう!(そう願います…)

次回作は連載したいなぁ…。

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